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2021年3月

  • 2021年3月25日

古典的な様式美の中にあふれる愛情とユーモア シャルダン『食前の祈り』

家族の日常を愛情豊かに描いた名画 以前、「家族を描いた名画は少ない」との内容を投稿したことがありました。 確かに家族を肖像画として描いた絵は画家と描かれた家族との信頼関係や良好なコミュニケーションが成立しない限り、なかなか難しいものがあります。 しかし、例外もあります。それは家族の日常を愛情あふれる一瞬の光景としてとらえられた場合ではないでしょうか? その代表的な作品がシャルダンの名画『食前の祈り […]

  • 2021年3月18日

灼熱の太陽の輝きに似た魅力作 ヘンデル「ディキシット・ドミヌス」

  灼熱の太陽の輝きに似た魅力作 ヘンデルはイタリア滞在時の若かりし頃、オペラの名曲を次々と発表しました。宗教曲『ディキシット・ドミヌス・主は言われた』もそのような時に誕生したのでした。 まず、この作品を聴いて感じるのは従来の厳かな宗教曲のイメージとは少し一線を画しているということです。 作品を聴くとわかるように、大変な意欲作で、これまでのカトリック音楽の慣例を打ち破ろうという気概に満ち […]

  • 2021年3月16日

言い尽くせない心の記憶を美しく表現! バッハ「平均律クラヴィーア曲集第2巻」

バッハ作品の原点 平均律クラヴィーア曲集は、多くの傑作を残したバッハにとって作曲の原点であり、特別な位置を占める作品でした。 それは彼のライフワークでもあるピアニストたちの練習に約立つことや、これからピアノの基礎をしっかり学んでいこうとする音楽家たちにとって、充分に学ぶ意味のある音楽を提供することでもあったのです。 もちろん一般のリスナーや音楽ファンにも多くの示唆を与え、感性を刺激する味わい深い作 […]

  • 2021年3月4日

癒えない哀しみと苦悩の旋律 チャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』

ロマンチズムの極地、衝撃の交響曲   チャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調『悲愴』。言うまでもなく傑作中の傑作です。 この作品、以前は第4楽章があまりにも悲し過ぎて、好き好んで聴くことがありませんでした……。でも人生経験を積んで、いろんな想いを通過して改めて聴き返すと、これが本当に感動的なのです。そしてチャイコフスキーがなぜこの交響曲を書いたのかということに納得するし、大いに共感してやま […]