- 2021年3月4日
癒えない哀しみと苦悩の旋律 チャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』
ロマンチズムの極地、衝撃の交響曲 チャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調『悲愴』。言うまでもなく傑作中の傑作です。 この作品、以前は第4楽章があまりにも悲し過ぎて、好き好んで聴くことがありませんでした……。でも人生経験を積んで、いろんな想いを通過して改めて聴き返すと、これが本当に感動的なのです。そしてチャイコフスキーがなぜこの交響曲を書いたのかということに納得するし、大いに共感してやま […]
ロマンチズムの極地、衝撃の交響曲 チャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調『悲愴』。言うまでもなく傑作中の傑作です。 この作品、以前は第4楽章があまりにも悲し過ぎて、好き好んで聴くことがありませんでした……。でも人生経験を積んで、いろんな想いを通過して改めて聴き返すと、これが本当に感動的なのです。そしてチャイコフスキーがなぜこの交響曲を書いたのかということに納得するし、大いに共感してやま […]
モーツァルトの音楽は良質な絵本のよう 絵本はいつの時代も、大人が子どもに絵を見せながら読み聞かせるものとして親しまれてきました。幼い子どもたちの感性、創造性を育み、さまざまな教訓を自然に無理なく吸収できるものとして愛されてきたのです。 ところが今、絵本は大人も読んで感動したり、その楽しさを味わうものヘと変化してきています。 これはどういうことなのでしょうか……。冷静に考えると、絵本の […]
メロディの宝庫! 一般的にクラシック音楽は他の音楽ジャンルに比べて高級だとか、敷居が高いと思われることが多いようです。でも、実際はどうでしょうか? 確かに他ジャンルに比べれば親しみやすいとは言えないでしょうし、長くて難解な曲もあることはありますね……。 でも、音楽の表現の領域や可能性が広いのもクラシック音楽の魅力です。 その証拠にグレゴリオ聖歌やミサ曲のような静謐で心洗われる音楽こそ音楽の原点だ […]
ピアニストの試金石 バッハの平均律クラヴィーア曲集は、彼のクラヴィーア作品の中で特に重要な作品です。無限のイマジネーションと真摯な宗教性が融合した不朽の傑作といえるでしょう! 19世紀の指揮者兼ピアニストのハンス・フォン・ビューローは「ベートーヴェンのピアノソナタ集がピアノの新約聖書だとしたら、バッハの平均律クラヴィーア曲集は旧約聖書」とたとえて絶賛しました。 また「無人島に1枚だけ […]
唯一モーツァルトの音楽が歓迎された モーツァルトは1786年に空前の大傑作「フィガロの結婚」を世に送り出しました。 「フィガロ」は当時いろいろと物議を醸し出した(貴族社会を痛烈に批判した)問題作でもありましたが、モーツァルトがありとあらゆるインスピレーションの限りを尽くした意欲作でもありました。 ウイーンでの「フィガロ」の上演は成功には至りませんでしたが、唯一プラハ(当時のボヘミアの […]
心洗われる清らかな祈りとハーモニー あっという間に11月も後半……。そしていつの間にかクリスマスの声が聞こえる季節となってまいりました。 今年は例年になく一年が早いですね。特別な一年であったことは間違いありませんし、時間の感覚がいつもとちょっと違います……。 今回はいつもと違うクリスマスにふさわしい音楽をご紹介したいと思います。それは20世紀のフランスの作曲家、モーリス・デュリュフレの『グレゴリオ […]
芸術的な味わいが際立つ ブラームスの交響曲第3番は、4曲の交響曲の中ではあまり特徴のない地味な作品のように思われがちです。 けれども芸術的な味わいや充実した構成で際立っているのが実は3番なのです。 1番のように演奏効果を狙ってないし、2番のように長すぎることはないし、4番のように渋すぎることもありません。(あくまでも個人的な印象なので参考程度に留めてください……) つまり自然な音楽の流れの中で、ブ […]
室内楽には珍しい華のある音楽 今年は春先からの新型コロナウィルスの感染禍で、今なお世界中が大混乱に陥っています。 終息が見えない現状に困惑するとともに、見えない敵との戦いがこれほどまでに心と身体を疲弊させ、脅威になるとは思ってもみませんでした……。 それに加えて不安定な天候や自然災害も追い打ちをかけるように続き、心が休まらない日々が続きます。 こんな時こそ、セルフケアとして、心にたっ […]
母の死の悲しみを乗り越えて モーツァルトといえばあらゆるジャンルで名曲を残した不世出の天才作曲家ですね。今回の作品「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K364」も2つの弦楽器による協奏曲の名曲として演奏頻度も高いです。 彼の音楽の特徴といえば、何といっても天衣無縫で無垢な音楽の調べが魅力です。 そして明るく笑顔を振りまくメロディとは裏腹に、ときおり垣間見せる涙……。この上ない美しさと […]
音楽詩人・グリーグ ピアノリサイタルでもよくとりあげられるグリーグの抒情小曲集は、全部で10集(1集が6曲から8曲で成り、全66曲)で構成されたピアノ曲集です。 作曲年代は、何と1867年から1903年の約35年ほどの長きに渡って作曲されました。 いわばグリーグのライフワークと言っても過言ではない、想い入れの強い作品集と言えるでしょう。 それぞれの曲は独立したピアノ曲としても充分に […]