ル・コルビュジエ「住宅は住むための機械」。ミニマリストが学ぶべき、機能美と暮らしのUIデザイン

家は住むための機械である」​

近代建築の巨匠、ル・コルビュジエ(1887-1965)が残したこの言葉を聞いて、あなたはどんな家を想像しますか?

冷たいコンクリートの壁、無機質な鉄のパイプ、温かみのない工場のような部屋……。もしそう感じたなら、それは大きな誤解です。

​実はこの言葉こそ、現代の私たちが憧れる「持たない暮らし」や「ミニマリズム」の原点とも言える、究極の快適で効率的に生きるための知恵が詰まっているのです。​

なぜ彼は、安らぎの場であるはずの家を「機械」と呼んだのか……。

その真意をひも解くと、雑多なモノや情報に囲まれて疲弊している現代人を救う、洗練された暮らしのヒントが見えてきます。​

目次

機械は冷たさではなく自由の象徴​

飛行機、自動車、豪華客船などは極限まで
無駄と装飾を省き、削ぎ落とした結果誕生した

コルビュジエが「家は住むための機械」と言った1920年代。「機械」とは、現代で言うところの最新のiPhoneやテスラのような存在でした。

飛行機、自動車、豪華客船。それらは無駄な装飾を一切削ぎ落とし、機能(速く移動する、空を飛ぶ)を極限まで追求した結果生まれた、美しく効率的な最新ツールだったのです。

​対して、当時の住宅はどうだったか。分厚い壁、埃のたまる過剰な装飾、風通しの悪い小部屋……。それは住む人のためというより、見栄や古い習慣のために作られた、使い勝手の悪い箱でした。

​コルビュジエは言いたかったのです。「飛行機が空を飛ぶために完璧に設計されているように、家も『住む』という機能のために、完璧に設計されるべきだ」と。

​それは決して「人間味を排除する」という意味ではありません。むしろ逆です。「無駄な装飾や不便さから人間を解放し、光と空気に満ちた自由な時間を与える」**ための機械。それが彼の理想だったのです。​

現代のミニマリストに通じる機能美の追求

​この思想は、現代のミニマリストの哲学と驚くほどリンクします。

コルビュジエ的な視点で、私たちの部屋(コックピット)を見渡してみましょう。

​装飾というノイズを消す

統一感のない色使いの部屋や、使途不明の置物などが、
さまざまな要素が生活のノイズを増やす

不必要な装飾を省いた機能的な美しさが
生活の質を高める

​コルビュジエは、住空間に関係のない装飾を嫌いました。現代の部屋で言えば、ただホコリを被っているだけの置物、用途のわからない家具、統一感のない色使い……。

これらは、いわば視覚的なノイズです。「それはちゃんと機能しているだろうか?」と問いかけてみることも必要かもしれません。美しさとは、飾り立てることではなく、機能が形になった時に自然と滲み出るものなのです。

​人間(ユーザー)を基準にする

コルビュジエが提唱するモデュロールという考え方

彼は「モデュロール」という、人間の身体寸法に基づいた黄金比を提唱しました。

天井の高さも、棚の位置も、すべては「そこに住む人間の身体」にとって快適かどうかで決められるべきだという考えです。

​あなたの部屋の家具は、あなたの体に合っていますか?「おしゃれだから」と思って買った座り心地の悪い椅子や、高すぎて届かない収納棚にストレスを感じていませんか?主役は家具ではなく、あなた自身です。

UX(ユーザー体験)の悪い家具は、どんなに高価でも、あなたの部屋という「機械」のバグになり得ます。​

掃除と採光をシステム化する

水平連続窓から降り注ぐ光や柱が機能美を引き立てる

コルビュジエの建築(サヴォア邸など)の特徴は、水平連続窓から降り注ぐ光と、ピロティ(柱)による開放感です。

これを現代の暮らしに置き換えるなら、「床にモノを置かない」ことに尽きます。

ロボット掃除機(現代の掃除機械)が走り回れる床、光を遮らない家具の配置。メンテナンスのしやすさを最優先に考えることは、生活の質を劇的に向上させる「機能美」そのものです。

​家は人生を操縦するためのコックピット

家の中の不要なノイズを減らすことが
生活を変え、人生を変える

「住宅は住むための機械である」。この言葉を現代風に超訳するなら、「家は、あなたの人生を快適に操縦するための高性能デバイスである」と言えるかもしれません。

かつて​iPhoneがボタンを極限まで減らして直感的な操作を実現したように、家の中の不要なノイズを減らし、機能性を研ぎ澄ませていく。

そうして生まれた余白の時間で、私たちは読書をしたり、愛する人と語らったり、アートを楽しんだりすることができるのです。

機能を突き詰めたものほど、不思議と人の心にやさしいと言えるでしょう。むしろ、機能という土台がしっかりして初めて、私たちは心からリラックスできるのかもしれません。​

さあ、あなたの部屋を見渡してみてください。そこは、あなたを疲れさせる倉庫になっていませんか?それとも、あなたを自由に羽ばたかせてくれる、美しい機械になっているでしょうか?

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