「甘える」と「甘え」は決定的に違う! 自分の気持ちに素直になる「甘える」

誤解されている「甘え」

 

現在、日本で一番誤解されている言葉の一つに「甘え」があります。

この言葉を聞くと、ほとんどの人が顔をしかめることでしょう。

なぜなら「甘え」はずるいという認識が根強くあるからです。

欧米では「甘え」について、どのような、認識があるのかはわかりませんが、日本では明らかに毛嫌いされる傾向がありますね。

「甘え」は「ずるい」というイメージの他に、「中途半端」、「他人まかせ」、「自分に厳しくない」、「半人前」のように、良くないイメージが付きまとっているようです。

特に考え方や仕事に「甘え」が出ると良くないと言われることが多いですね。

 

「甘える」と「甘え」の違い

もちろん仕事の手順や進捗に「甘え」は禁物です。徹底的に「甘え」を排除していかなければなりません。

そうしないと仕事の効率が悪くなるし、周囲にも悪影響を及ぼすでしょう。

では「甘え」は絶対的に悪なのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。

小さな子どもたちは無条件で親に甘えます。それは子どもたちの特権です。

幼児ばかりではなく、小中学生、大学生もそうですし、自立した社会人でさえ甘えたいという想いを抱いているのです。

人は誰でも心から信頼できる人、心を許せる人に思いっきり甘えたいという欲求があります。

つまり言葉を超えた信頼関係が成り立っていれば、「甘える」とはごく自然な愛情表現であり、コミュニケーションなのです。

下の図に簡単に特徴をまとめましたが、「甘える」と「甘え」は極端に言えば性格が真逆ですね。「甘える」は人との関係の中で成り立つもので、甘えることを通じてより関係が強固になり、親密になっていきます。

それに対して「甘え」は人との関係よりも、その場しのぎの「逃げ」を意識した傾向があります。当然そこから得られるものはなく、人の信頼を失っていきます。

 

「甘える」と「甘え」の違い

 

「甘える」ことの大切さ

 

「甘える」ことは人の成長に絶対に欠かせないものです。

甘えたい盛りの幼少期に甘えられなかった人は、「愛情を育む」という適切な成長のプロセスを踏めなかったと考えていいでしょう……。

残念ながら、甘えられなかった人は本当の愛情の味を知らないのと同じなのです。

「甘える」という行為は、成長する過程で必要不可欠な心の栄養分なのです。それはちょうど植物が根を張るために光や水、その他の養分を必要とするのに似ています。

人は「甘えられる」という安心感から、自分が愛され、大切にされている事を肌で実感していくのです。

自分を認め、愛してくれているという実感……。自我の生成にとても大切な時期を逃してしまうと、その後の人生に大きな影を落としてしまいます。結局いつかはその「愛情の空白」の埋め合わせをしなければならないのです。

 

「甘え」の認めから始まる成長

 

「何を甘えたことを言ってるの!」とか、「その考えが甘いんだよ」などのように「甘え」を非難する言葉は日常的によく聞かれます。

大抵、日常的に使われる「甘え」は人としての見識の浅さや、事を進める上での姿勢がなっていない事を咎められる事が多いようです。

ただし、「甘える」と「甘え」を混同してしまうと大きな問題が出てくるでしょう。

そもそも「甘える」と「甘え」は本質的な意味が違います。

「甘える」ことは自分の率直な気持ちを相手にしっかりと受けとめてもらうことです。つまり心の垣根を一切取り払い、お互いの事情を共有することなのです。

甘えが成り立つためには、双方の心に一切壁があってはなリません。

これは特に子育てに言えることです。

日本では世間体や体裁を気にするあまり、家庭の中でしつけやけじめと称して、子供たちに「あれもダメ、これもダメ」と言って追い込んでしまう傾向があります。

しかし、どんなにしつけを厳しくしても限界がありますし、必ずほころびが出てくるものです。 形だけの教育はその時は良くても、後々大きな問題を生む原因にもなりかねません。

なぜなら、しつけや規則を守るということは愛情を育んだり、心の成長を促すこととは無関係だからです。

しつけは最後の最後でいいでしょう……。 まずは子どもたちの気持ちを精一杯受けとめてあげる、甘えさせてあげることが何よりも重要です。

 

社会でも「甘え」は必要

もちろん、これは子育てに限ったことではありません。

一般社会でも相手の気持ちを理解したり、受けとめてあげることがどれほど大切なのかは誰もが納得しています。また、多くの人が自分の気持ちを受けとめてほしいと内心は強く願っているのです。

相手の立場を理解するのは難しくとも、相手の立場に立って考えたり、慰めの声をかけてあげたり、感謝の気持ちを素直に伝えるような心のゆとりを持ちたいものです。

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先ほど仕事を遂行していく上での「甘え」は絶対的に排除すべきと申しましたが、人間関係やコミュニケーションを円滑にしたり、モチベーションを高める「甘え」は大いに歓迎されるべきです。

ただでさえギスギスしがちな職場で上手に「甘え」が取り入れられれば、驚くほど雰囲気に潤いが出てきたり、社内全体が活性化することでしょう。

 

受けとめかたで人間関係が変わる

 

「甘える」とは信頼関係が成り立っている上で、その人のすべてを受けとめてあげる……。考えようによっては大変に高度で奥の深いコミュニケーションです。

「甘える」ということは、誰でも簡単にできるものではありません。

ならば、人との間にある分厚い壁を少しでも取り払うことに努めてみませんか?

 

そのためには自分をいい意味でさらけだすことです! 決して難しく考える必要はありません。

いつも笑顔で接する(作り笑いは必要ありません)、絶対に見栄を張らない、あらかじめ自分の欠点、短所を認めて相手に伝えておく、マイナス思考を一掃する…。

つまり、ありのままの飾らない自分の姿を見てもらうのです。

これだけでも自分に対する相手のイメージが大きく変わるはずです。しかもそのようにするだけで、お互いに気持ちが楽になるでしょう。

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心の鎧がとれた瞬間からそれまで抱いていた気持ちのわだかまりが消え、スムーズに意思の疎通が出来るようになります。

誤解や偏見から解放されれば、相手の本当の姿が垣間見られるようになるし、次第にコミュニケーションをとるのが楽しくなるでしょう。

気持ちの受けとめかたで人間関係はどのようにも変わるのです。

 

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