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名画の世界

  • 2022年12月12日

強固な存在感と穏やかな空気!セザンヌ「レスタクから眺めるマルセイユ湾」

  画家の心を刺激した町 絵のテーマになったレスタクは、南フランス・マルセイユ近郊の港町です。 ここは19世紀後半、多くの印象派の画家たちが風光明媚な街並みや原色のパレットのような海に魅せられて訪れた所でした。 地中海に面してマルセイユ湾が広がっていて、丘陵の素晴らしい背景と、青い海に映える真っ白な街並み、例えようのない光と色彩の美しいコントラスト……。 これは画 […]

  • 2022年10月22日

雪景色が伝える至福の瞬間・モネ『アルジャントゥイユの雪』

自身の発見や感動を描写   モネの風景画を見ると、どの絵にもモネ自身の発見や感動が作品に注がれていることが伝わってきます。  また観察眼が鋭く、構図の取り方や色彩のデリケートな配色も絶妙! 『アルジャントゥイユの雪』も非常に美しい絵ですね。 彼の描いた雪の情景は傑作が多いのですが、この絵も実に豊かな感性に彩られています。 雪景色の光に映える美しさを 見事に表現   この絵の最大 […]

  • 2022年7月21日

エッチングの常識を破った表現力・レンブラント『羊飼いに現れた天使』

    聖書の情景を見事に再現   この絵(エッチング)は新約聖書のルカによる福音書2章8節~20節で、キリスト誕生にまつわるエピソードをドラマチックに描いたものです。 夜中に羊飼いたちが、キリストの誕生を告げに来た天使たちに遭遇し、そのまばゆい光景にあまりにも驚いて身動きできない様子が描かれています。 レンブラントは非日常の神秘的かつ劇的な光景を見事に表現したのでし […]

  • 2022年6月25日

ミクロの世界から時空を超えたマクロの世界へ・ブリューゲル「バベルの塔」

  16世紀ベルギーの天才画家、ブリューゲルには『バベルの塔』と名づけられた大小2枚の名画があります。 この2枚の作品はいつの時代も、見る人に理屈抜きで堪能できる絵画ならではの面白さやメッセージを送り続けてきました。それは500年ほどが経過した現代でもまったく変わっていません。 今回は小さいほうのバベルの塔をメインに魅力やエピソードについてご紹介していきます! 人間の傲慢さと無力 ブリュ […]

  • 2022年4月20日

一瞬の輝きを刻みこんだ名画・モネ『散歩、日傘の女』

「ああ、この瞬間をカメラで撮影できたらなあ…残念」 皆さんはシャッターチャンスを逃してしまって、このような口惜しい想いをした経験はありませんか? デジタル技術が目まぐるしく進歩して、カメラの性能も日進月歩で高性能化している現代でさえそうなのですから、過去のクリエイターやアーティストたちはどれほどの想いだったのでしょう……。 しかしそんな時代のハンディを感じさせるどころか、むしろそれをメリットに変え […]

  • 2022年3月19日

黄金色に輝くアルル時代絶頂の名作・ゴッホ「ラ・クローの収穫」

  南仏に求めた明るい日差し   西洋絵画史上、最も強烈な印象や足跡を残した人としてゴッホの名前を挙げる人は多いでしょう。 しかも彼の偉大な作品は晩年の2年間にほぼ集約されています。その2年はゴッホ自らがユートピアと謳ったアルル滞在時代でした。 この時代に彼は代表作と言われるほとんどの作品を描いたのです。アルル時代はゴッホにとってすべてが新鮮で創作のエネルギーが湧きあがる充実し […]

  • 2022年1月6日

木訥とした画風に隠された味わい深さ・マルケ「ポン=ヌフとサマリテーヌ」

平凡な絵の中の非凡 Embed from Getty Images 1934年、モスクワで開催された若手画家の展覧会を訪れたアルベール・マルケ(右から3番目) (Photo by Keystone-FranceGamma-Rapho via Getty Images)   マルケという人はちょっと見ただけだと何でもないような絵を描いてるようにしか見えません。 しかし、よく見ると実は凄い絵 […]

  • 2021年11月6日

容赦ない批判の対象になった古典的名画・アングル「グランド・オダリスク」

散々なほど貶された絵画 今やドミニク・アングルの代表作として名高い「グランド・オダリスク」ですが、1814年に公開されてしばらくの間は決して世評は高いとは言えませんでした。 むしろ格好の攻撃対象としてサロンでは散々な非難を浴びたのです。 その非難のほとんどが「解剖学的にこれはおかしい」とか、「実際にありえない人間の身体だ」という内容だったのです。 特にひどかったのが、1819年のサロン出品時でした […]

  • 2021年9月10日

形と色の可能性をあらゆる角度から徹底的に追求! マティス「赤のハーモニー」

  あらゆる要素に意味がある Embed from Getty Images 1947年頃、フランスのヴァンスにある自宅のベッドで 紙の切り抜きをするアンリ・マティス(1869-1954) (写真提供:Archive Photos / Getty Images)   これはアンリ・マティスの比較的初期の作品ですが、彼の絵画の方向性を決定づけた非常に重要な作品です。 マティスの構 […]

  • 2021年7月27日

心象風景と現実がオーバーラップした絵画 モネ「睡蓮」

  モネ晩年のライフワーク Embed from Getty Images モネが晩年を過ごした家 モネは見慣れた何でもない風景にちょっとした魅力を発見し、それを光と色彩の巧みな描写によって絵の魅力を倍増させた人でした。 ところで「モネの代表作は何か?」とたずねられたら何と答えますか?おそらくほとんどの方は「睡蓮」と答えるのではないでしょうか?モネ=睡蓮だという方もいるくらいです。 確か […]