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名画の世界

  • 2021年11月6日

容赦ない批判の対象になった古典的名画・アングル「グランド・オダリスク」

散々なほど貶された絵画 今やドミニク・アングルの代表作として名高い「グランド・オダリスク」ですが、1814年に公開されてしばらくの間は決して世評は高いとは言えませんでした。 むしろ格好の攻撃対象としてサロンでは散々な非難を浴びたのです。 その非難のほとんどが「解剖学的にこれはおかしい」とか、「実際にありえない人間の身体だ」という内容だったのです。 特にひどかったのが、1819年のサロン出品時でした […]

  • 2021年9月10日

形と色の可能性をあらゆる角度から徹底的に追求! マティス「赤のハーモニー」

  あらゆる要素に意味がある Embed from Getty Images 1947年頃、フランスのヴァンスにある自宅のベッドで 紙の切り抜きをするアンリ・マティス(1869-1954) (写真提供:Archive Photos / Getty Images)   これはアンリ・マティスの比較的初期の作品ですが、彼の絵画の方向性を決定づけた非常に重要な作品です。 マティスの構 […]

  • 2021年7月27日

心象風景と現実がオーバーラップした絵画 モネ「睡蓮」

  モネ晩年のライフワーク Embed from Getty Images モネが晩年を過ごした家 モネは見慣れた何でもない風景にちょっとした魅力を発見し、それを光と色彩の巧みな描写によって絵の魅力を倍増させた人でした。 ところで「モネの代表作は何か?」とたずねられたら何と答えますか?おそらくほとんどの方は「睡蓮」と答えるのではないでしょうか?モネ=睡蓮だという方もいるくらいです。 確か […]

  • 2021年5月14日

テーマが明確! 動きや構図、色彩に特化した絵画 マティス「ダンス」

  絵画の概念を根底から覆す 小学生の頃だったでしょうか……。この絵を初めて見たときは本当にビックリしたものでした。 「こんなにアッサリ、すっきり絵をまとめちゃっていいんだろうか」と。 その後、「絵の本当の良さ、価値って一体何なんだろう……」としばらく悩んだものです。 思えば20世紀絵画は大革命と言っていいような変化と激動の時代でした! 人間のあらゆる表情・性格を同じ平面上に表したピカソ […]

  • 2021年4月21日

人間と苦楽を共にし、寄り添う自然の姿を描く! ルーベンス「虹のある風景」

  自分の内面を見つめるゆとり 風景画は描いた人の人生観が絵に表れやすいと言われます。 「虹のある風景」は歴史画、人物画の大家としてバロック絵画の頂点を極めたルーベンスが晩年に描いた風景画です。 ルーベンスといえば筋骨隆々とした力強く豊満な肉体の人物画を描いてきた人としてあまりにも有名ですね。 でも彼が晩年になると次第に農夫や動物たちを配置した風景画を描くようになります。これはどういうこ […]

  • 2021年3月25日

古典的な様式美の中にあふれる愛情とユーモア シャルダン『食前の祈り』

家族の日常を愛情豊かに描いた名画 以前、「家族を描いた名画は少ない」との内容を投稿したことがありました。 確かに家族を肖像画として描いた絵は画家と描かれた家族との信頼関係や良好なコミュニケーションが成立しない限り、なかなか難しいものがあります。 しかし、例外もあります。それは家族の日常を愛情あふれる一瞬の光景としてとらえられた場合ではないでしょうか? その代表的な作品がシャルダンの名画『食前の祈り […]

  • 2021年2月22日

幻覚に悩まされつつ崇高な世界を表現 ゴッホ『星月夜』

迫力満点だった上野の展覧会 2019年に東京・上野の森美術館で開催された『ゴッホ展』は見応え充分の充実した展覧会でした。 中でも『糸杉』の迫力は言葉に表せないほどのもので、厚く塗られた絵の具のタッチや狂おしいほどの情熱、生命を削りながら無我夢中で描いたと思われる余韻と感動は到底写真や印刷物では再現できないだろう……と確信したのです! ゴッホ(1853-1890)の心の息吹が目に見えるような形で伝わ […]

  • 2021年2月13日

みずみずしい感性が心地いい! 穏やかな空気が流れる絵 シスレー『草原』

印象派の典型と言われた画家 今なお日本でも根強い人気があり、19世紀に一世を風靡した印象派がフランスで産声をあげたきっかけは思いがけないものでした。 それは1870年代にフランスの芸術アカデミーとアカデミー主催のサロン展へ抗議する形で噴出したのです。 サロンに出品することは、当時の画家たちにとって成功に至る唯一の登竜門だったのでした。しかしサロンの権威ある審査員たちは、印象派から出品された作品の多 […]

  • 2021年1月14日

見た目の風景画から存在の本質に迫る風景画へ・セザンヌ『サント・ヴィクトワール山』

  19世紀後半、モネ、ルノワール、シスレー、ピサロなどの印象派絵画が脚光を浴び、ヨーロッパ画壇を席巻する中で異色の風景画を描き続けた人がいます。 ポール・セザンヌ(1839-1906)です。彼は誰もが思いつかない、一風変わった独自の絵画スタイルを編み出し、後年はそれをとことん追求し続けたのでした。 彼が激動の19〜20世紀絵画においてはたした役割や業績とは何だったのでしょうか? &nb […]

  • 2021年1月7日

ピアノの詩人の内面の世界を伝える・ドラクロワ「ショパンの肖像」

『フレデリック・ショパンの肖像』という絵を皆さんはご存知でしょうか? 言うまでもなくピアノの詩人で大作曲家のショパンその人を描いた絵です。 「あっ見たことある!」「ショパンのプロフィールでよく見るよね」など、意外に馴染み深い絵かもしれません。しかもこの絵はただの肖像画ではなく、さまざまなエピソードが隠されていたのです…。     ロマン派の巨人同士の出会い 『フレデリック・ショ […]