
Claude Monet’s Snow at Argenteuil (1874–1875) Original from Wikimedia Commons. Digitally enhanced by rawpixel.
自身の発見や感動を描写
モネの風景画を見ると、どの絵にもモネ自身の発見や感動が作品に注がれていることが伝わってきます。
また観察眼が鋭く、構図の取り方や色彩のデリケートな配色も絶妙!
『アルジャントゥイユの雪』も非常に美しい絵ですね。
彼の描いた雪の情景は傑作が多いのですが、この絵も実に豊かな感性に彩られています。
「ああ、この瞬間をカメラで撮影できたらなあ…残念」 皆さんはシャッターチャンスを逃してしまって、このような口惜しい想いをした経験はありませんか? デジタル技術が目まぐるしく進歩して、カメラの性能も日進月歩で高性能化している現代でさえ[…]
雪景色の光に映える美しさを
見事に表現

Claude Monet’s The Magpie (1868–1869)
Original from Wikimedia Commons. Digitally enhanced by rawpixel.
この絵の最大の魅力は何といっても光に映える雪景色の美しさでしょう。
モネが画壇で活躍するまではモチーフに雪景色を選ぶことは一種のタブーとさえ言われていました。
それは冬の厳しい寒さや冷たさが、どうしても暗く重々しい印象を与えかねないと思われていたためかもしれませんね。
雪の情景を描いた絵で思い出せるとすれば、せいぜいブリューゲルの『雪中の狩人』くらいでしょうか……。
しかし、モネの『アルジャントゥイユの雪』はどうでしょう?
暗い印象どころか、光に美しく反射し、神秘的な美しさを醸し出す雪の舗道はうっすらと希望が見え隠れするようですね!
既成概念にとらわれない
感性の輝き
とかく「雪」というと絵のテーマになりにくいし、絵のモチーフとしてはどうも…と敬遠される傾向が多かったことは確かです。
それに対して、モネは重苦しいイメージを払拭すべく、雪の情景の魅力を余すところなく表現し尽くているではありませんか!
白い雪が醸し出す繊細な色彩の美しさを、暖色系の中間色を配置しながら至福の瞬間として表現した人はおそらくモネしかいません。
彼一流の感性のフィルターで描かれたこの絵は、暗く冷たい雪の概念を覆すような新鮮な感動と発見が至るところに充満しているのです。
そして何といっても見事なのが、肌を直接撫でるような雪の日の冷たい空気感が、目の前で展開されているような実感を伴うことです。
まさに私たちが絵の世界の中に入り込んでいるような感覚ですね……。それはみずみずしい光と色彩のハーモニーによって、より一層伝わってくることになるのです!
趣向が凝らされた名画
この絵の魅力を形成しているものには、モネ自身の巧みな描画法も大きな力になっています。
たとえば雪の日の移ろう大気の流れや、ひんやりとした空気感を筆のタッチを微妙に変えながら、動きのある表現にしているところがまずあげられるでしょう。
スピーディーに荒々しく描くことや、絵の具をしっとりと定着させることで風や空気の流れを絶妙に表現していますね。

また、左上に垣間見える青空や、ブルーやピンクの中間色として木々に映える光の要素が開放感とともに、美しいハーモニーとなって私たちの心をワクワクさせてくれるのです!
人々の話し声があちこちから聞こえてきそうな日常の一コマを切り取った感覚も何ともいえません。

こんな絵を見ると冬の情景も悪くないなと思いますね……。
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