コミュニケーションは楽しい(2)文章編

文章編

 

文章力も大事だが、気持ちを伝えることはもっと大事

前回の言葉編とは違って、文章は記録をしっかり残せるコミュニケーションのひとつです。

目に見えるかたちで残せるというのが文章の大きなメリットなのですが、それがときには思わぬデメリットになってしまうこともよくありますね

一度書いたものは基本的に取り戻せないからです。書いてはいけないことを書いてしまったという失敗談はよくあることです……。

 

さて、文章は言葉以上に書いた人の気持ちが現れます。

文章講座を勉強して、適切な表現を心がけている」とか、「文章力には大いに自信がある!」とおっしゃる方でもそれは一緒だと考えていいでしょう。

書いた人の人柄、個性が如実に出るのも文章の特徴です。

 

文章を書く上で一番大切なことは「何を伝えたいのか」これに尽きます。

どんなに上手な文章を書いたとしても、「何を言いたいのか」という目的や真意が伝わらなかったら、意味がありません。それでは自己満足の範疇に留まってるとしかいえないのです。

まずは下手でもいいから、自分が何をしようとしているのか、また何をしたいのか……、自分の気持ちを率直に、しかも明確に伝えるところから始まります。

 

相手の顔を思い浮かべながら書く

文章を書くとき、「何を伝えたいのか」ということは最低条件としておさえなければなりませんが、気持ちを伝えるために、まずは自分の近況を伝えるのもいいでしょう。

ただし、要点をおさえたコンパクトな挨拶にとどめておくべきでしょう。

ところで、文章表現で絶対に忘れてはならないポイントがあります。

それは相手の気持ちに寄り添うことです。

文章には言葉で言い尽くせない様々な感情を美しく表現できるメリットがあります。これは文章のみが持つ美徳です。

たとえば、ふさわしい言葉がみつからないときに自然の美しい情景にたとえてみたり、面と向かって話せないことを素直な気持ちで書いてみたり、甘えてみたり……、会話では交わせない、あなたが心に抱いている想いを書きとめたらいいのです。

 

美辞麗句を並べる必要もありません。

自分の気持ちに素直になって、肩の力を抜いて書いてみましょう。

文章だからといって妙にかしこまると、自由な発想と魅力あふれるフレーズが浮かばなくなってしまいますよね……。

文章をコミュニケーションの手段と考えれば、相手に話しかけるように書かなければならないということが浮かび上がってきます。

たとえば実際に話をするとき、相手がどれだけ理解してくれているのか、表情や雰囲気で確認しながら進めていきますよね。

 

まずは相手がすぐ眼の前にいると思って書いてください。 

密室でこもって書くイメージではなく、相手の反応を予想しながら書くのです。友人が笑ったり、楽しそうにしている様子を想い浮かべながら書くのです。

裏返せば、相手の顔が浮かんでこない手紙やメールは気持ちが伝わりにくいと思っていいでしょう。

 

手書きのメッセージは心に響く

ネット社会の現在、手紙による近況報告や挨拶はSNSの急速な普及によって滅多にお目にかかれなくなりました。

しかし、こういう時代だからこそ、大切なメッセージを手紙やはがきで投函したり、直接手渡すことは逆に新鮮ですし、思わぬ効果が得られたりするものです。

特に手書きで丁寧に書かれた文面は、それだけで相手を感動させるに充分と言ってもいいでしょう。

考えてみてください……。

スピーディーさが求められる現代、便箋を選んで、文章を書いて投函する、このような手順を踏むことは大変な手間がかかりますよね。

これは相手を大切に思うからこそ出来る表現方法であることは間違いありません。

 

もしゆとりがあれば、文面を綴るだけでなく、色鉛筆や水彩を使った簡単なイラスト、絵を添えることによって、さらに味わい深いメッセージとなるでしょう。

それだけで書いた人の人柄が彷彿とされるに違いありません!

デジタル文化が蔓延する現代、人は手作りの創作物やコミュニケーションに癒やしを求めており、手紙や絵手紙はその最たるものといえるでしょう。

心にゆとりがあるときは手紙で相手に気持ちを伝えるのも悪くないかもしれません。

 

気持ちの伝達は短いメッセージで

 

会話をしているとき、気の合う間柄なら、ちょっとした話題や世間話で盛り上がるでしょう。

しかし文章の場合、どちらか一方が書き手か読み手に分かれます。そのため、書き手は読みやすくわかりやすい文面にするよう、長さや内容をよく吟味しなければなりません。

まずは文面に無理なく入っていけるような工夫をしなければならないでしょう。

 

それには文章を長々と書くのは考えものです。

必然的な理由があって長くなってしまうのは仕方ありませんが、相手が読んで疲れない配慮をすることが必要でしょう。

訓戒のように一言だけ書き留めるのもいいかもしれません。

 

ただしそれには条件があります。気持ちが伝わらなければならないということですね……。

たった一言の文章でも気持が伝われば、それは相手にとって大切なメッセージとなるのです。

では、一言に気持ちを込め、それを無理なく伝えるにはどうしたらいいのでしょうか?

 

自分だけの演出も必要

まずは文字オンリーだけでなく、読んでもらうための工夫をしていきましょう。

たとえばタイトルを装飾したり、写真を適度に挿入したり、時には吹き出しを入れることも必要でしょう。

あなたらしいオリジナリティあふれる演出が必要なのです。(LINEやInstagram等のSNSはこれに長けてますね)

それだけで言葉の持つパワーが2倍にも3倍にもなり、文章が醸し出すイメージが劇的に変わります。

 

演出効果として数種類の色を使ってメリハリを加えるのもいいですね。適切な白スペースをとることも大事ですし、段落を適度に空けて読みやすくすることも必要かもしれません。

文面だけでなく、趣向を凝らして雰囲気を高める研究もしてみましょう!

それもこれもすべては相手に対する愛情表現なのです。

文章で気持ちがスムーズに伝わるようにはそれなりの手間をかけることも愛情表現のひとつと考えましょう。

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継続は信頼を深める

最初にお話しましたように、文章は言葉に比べるとコミュニケーションとしての持続性があります。

また、記録として残る分、より一層心に刻まれる可能性が高いです。

けれども、どんなに素晴らしい文章を書いて喜ばれても、一度だけで終わってしまったら信頼関係は築けません。

 

何事も継続が大切です。

継続してやりとりされた文通はただの記録にとどまりません。

最初はぎこちない関係だったのが、手紙でやりとりを続けていくことで、ある日突然、雪解けのようにわだかまりが消えて無二の親友になったりするのはよくあることです。

お互いに相手に対して関心を寄せ、気に留めてあげることを通じて、知らない間に信頼関係が構築できるのです。

そして、それはいつまでも残る心の財産となるでしょう。

たとえ最初は無味乾燥な文章であったとしても、相手とのやりとりの中で様々なことに気づき、無限に可能性が拡がっていくのです。



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