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ドイツルネッサンスの巨人!
ルネサンス期のドイツの巨匠デューラーは聖書の連作や神話をテーマにした絵を描いたスケールの大きい画家でした。
デューラーの凄さをあげるとすれば、画家としての類まれな表現力はもちろん、中世ドイツ特有の職人気質の強い潔癖な作風があげられるでしょう。
特に聖書版画シリーズの連作は時代が移り変わろうとも色褪せない人類の至宝ですね!
皆さんはデューラーといえば、どんな絵を真っ先に思い浮かべますか……?
私は「アダムとエヴァ」の凛とした表情や「四人の使徒たち」の目ヂカラの強さにも惹かれますが、すぐに思い浮かぶのは水彩画の「野うさぎ」です。
デッサン力の凄さは言うまでもありません。
圧倒的な存在感
とにかく、ひと目見ただけで画面に釘付けにしてしまう圧倒的な存在感はいったい何なのでしょう……。デッサンだけでモチーフからこれだけの存在感を出せる人はなかなかいません。
何より表面的にうさぎを描写するのではなく、生態や特徴を捉えた緻密でダイナミックな表現が私たちの心をとらえて離さないのは間違いないでしょう……。
うさぎが今にも動きだすのでは……という理屈ではないワクワク感や見る楽しさがありますね!
血が通い生気あふれるうさぎの姿。うさぎそのものを想わせる柔らかそうな毛並みやピンと立った耳、ゴツゴツとした骨格や筋肉の動きまでリアルでまったく違和感がありません……。
とにかく、この絵からは「狙った獲物は離さない!」的な並々ならないデューラーの気迫が伝わってくるのです!
空間、拡がりのある構図
「野うさぎ」は巧みな仕掛けやデフォルメが施されています。
たとえば、空間を感じさせる構図の素晴らしさですね!
絵の右下方から逆三角形に拡がる構図は、今にも動き出しそうなうさぎの形態を効果的に引き出しています。
また、ガッシュや透明水彩のような性格の真反対の画材を駆使して、それを完璧に絵として馴染ませる画力! 特にウサギの目の繊細で強い眼力はウサギの存在感を際立たせています!
とにかくこの絵には説明はいりません!
絵を見れば野うさぎがどんな性格で特徴があるのかが自ずと伝わってくるかのようです。
ひとつひとつの描線に神経を通わせ、細心かつ大胆に描き分けることによって生命力を注ぎ込むことに成功しているのです。
この絵はきっとこれまで、世界中の動物図鑑の絵描きさんたちにもはかりしれない影響を与え続けてきたのでしょうね……。