男性ボーカルは女性ボーカルの魅力とはまたちょっと種類が違いますよね……。
低音から中音域にかけて豊かな響きが持ち味である場合が多く、それが楽曲に一層の深みを与えることにつながります。声の質だけではなく、音楽にさまざまな可能性を追求したり、新たな挑戦を試みる傾向があるの男性ボーカルの特徴かもしれません。
それでは洋楽男性ボーカル7選を見てまいりましょう!
バリー・マニロウ
バリー・マニロウは名門ジュリアード音楽院を卒業後、本格的なポップスを歌い続けてきたアメリカを代表する歌手。
作曲家、プロデューサーとしても活躍しています。作曲家としては、自身のアルバムだけでなく、他のアーティストへの楽曲提供も精力的に行っています。
1970年代に、「哀しみのマンディ」「歌の贈りもの」「コパカバーナ」などの数多くのヒット曲を世に送り出してきました。彼の甘い歌声と情感たっぷりのパフォーマンスは、他の歌手にはない独特の魅力があります。
バラードからアップテンポな曲まで、幅広いジャンルの曲を歌いこなし、高い歌唱力で聴く人を魅了してきました。
This One’s for You
単なるラブソングにとどまらず、大切な人に感謝の気持ちを伝えたい、誰かのために何かをしたい、そんな普遍的なメッセージが込められている。
バリーの温かく甘い歌声はその想いを雄弁に伝えている。
涙色の微笑
1970年代のポップバラードの特徴を持ち、リスナーに穏やかさと、懐かしい感覚を呼び起こす。「君がいないと微笑むことさえできない」というフレーズは印象的で、愛や感謝のメッセージが凝縮されている。
Swing Street(アルバム)
トム・スコットやスタン・ゲッツ、ダイアン・シューア等の超一流アーティストたちとのコラボが楽しい名盤。ジャンルを超えた共演はバリーだけでなく、他のアーティストの魅力を見事に引き出すのに成功している。
トニー・ベネット
トニー・ベネットは、90歳超えの現役歌手として活動を続けた全米最高のエンターティナーとして記憶をとどめている人も多いことでしょう。
彼の歌はオペラのような美しい響きのベル・カント唱法が特徴でした。非常に情感豊かな歌声と、心に深い余韻を残す圧倒的な表現力で多くのリスナーを魅了してきたのも間違いないでしょう。
1950年代に、「ビコーズ・オブ・ユー」「コールド・コールド・ハート」などのヒット曲を連発し、1962年には「思い出のサンフランシスコ」でグラミー賞を受賞しました。
ジャズやバラード、ポップス、スタンダードナンバーなどで完璧に自分のスタイルに持ち込む懐の深さも特筆すべきものですね。
1975年に入ると、ジャズの巨星ビル・エヴァンスとの共演で「トニー・ベネット&ビル・エヴァンス」が実現しました。これは互いのリスペクトが成しえた、忘れられないアルバムと言っていいでしょう!またレディー・ガガとのコラボも世代を超えて音楽ファンを熱狂させました。
温かく優しい人柄ゆえに、多くの歌手からリスペクトを受け、ファンからも愛される存在でした。
晩年はアルツハイマー病の診断を受けたものの、音楽活動を続行できたのは、彼の人柄からくる内容が大きかったのかもしれませんね。彼の音楽は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。
Fly Me to the Moon
1954年にバート・ハワードによって作曲されたジャズのスタンダードナンバー。
音楽自体が抜群の雰囲気とムードを醸し出す名曲。今なおさまざまなジャンルでアレンジされ、多くの歌手たちがカバーしている。
ベネットの歌はこの曲のカバーで最高の一つといえるだろう。スローテンポのバラード調で、哀愁を含ませた強い主張の声に魅了される。
Wno Can I Turn to
1964年のミュージカル「ドーランの叫び/群衆の匂い」の中で歌われた挿入歌。レスリー・ブリッカス、アンソニー・ニューリー作曲による、今やジャズのスタンダード・ナンバーだ。
曲は孤独や絶望の中で誰かに頼りたいという切実な心情を描いている。トニーは愁いに満ちた想いをこの上なく見事に歌い上げる!
My Favorite Thing
My favorite things〜私のお気に入り〜は「サウンド・オブ・ミュージック」の有名なナンバーだ。
自分のスタイルに引き寄せるトニーの歌のゆとりはもちろん、彼が心から楽しんで歌っているのがたまらない!
The Tonny Bennet/Bill Evans (アルバム)
トニー・ベネットとビル・エヴァンスという黄金コンビの組み合わせ。楽曲は満足いくまで何度も録り直されたという。
トニーは語る。「1曲につき3、4時間かけてレコーディングした。 何度も何度も、ひとつひとつが見事で、彼のやっていることが信じられなかった。あれは私がやった中で最も名誉あることだ」
フランク・シナトラ
アメリカだけでなく、20世紀を代表する歌手であり、俳優としても名を成した稀代のエンターティナー。
彼が歌うとすべての楽曲は輝き始め、哀愁を帯びるという……。一つの世界を作り上げる歌心は、もはや伝説といっていいかもしれないですよね。
2オクターブの軽やかなバリトンボイスを駆使して、感情の起伏を巧みに表現するシナトラならではのパフォーマンスは多くの人を魅了してきました。完璧なテクニックと、情感豊かな歌声で聴く者を魅了する彼の歌は唯一無二と言えるでしょう。
シナトラは、数多くの曲を歌いこなし、それらをスタンダード曲として定着させたことは大きな功績といえるかもしれません。ジャズ界にも多大な影響を与え、大衆音楽へと押し上げると同時に、親しみやすいジャンルとして、人々にジャズの魅力を広く伝えるきっかけとなったのです。
またレコーディングの技術革新にも貢献しました。彼は音質に徹底的なこだわりを持っていて、当時の録音技術の限界に挑戦し、高品質なサウンドを実現したのも記憶に残ります。
ミュージカル映画「踊る大紐育」(1948)、映画『地上より永遠に』(1953)などの俳優としての存在感、名演技も決して忘れられないでしょう。
Theme From New York, New York
Let Me Try Again
シナトラが現役復帰を決めた1973年にリリースされた曲。ポール・アンカが比較的晩年に近い時すでに声に衰えはあるが、聴かせどころをしっかりおさえた
Let It Snow!
クリスマスソングの定番。シナトラは彼独自のアプローチで、この曲の遊び心や魅力を抜群のセンスで聴かせてくれる!
Platinum(Official Trailer)
シナトラの魅力がぎっしり詰まったアルバムのハイライト映像。
Platinum(アルバム)
シナトラのすべてがあるといっても過言ではないファーストチョイス候補のアルバム。全盛期の歌声に加えて、著しく録音状態も改善された。まさに後世へ語り継がれる名盤。
スティービー・ワンダー
1950年、アメリカ・ミシガン州出身。20世紀を代表するシンガーソングライター、音楽プロデューサーであり、そのマルチな才能と活躍の領域、多大な影響力はまさに音楽の巨人と言っていいでしょう。
生後すぐに未熟児網膜症によって失明しましたが、幼い頃から音楽の才能を発揮。わずか11歳でモータウン・レコードと契約し、13歳でリリースした「フィンガーティップス」で全米シングルチャート1位を記録する快挙を成し遂げます。
彼の音楽は、ソウル、R&B、ポップ、ファンク、ジャズなど、多彩なジャンルを融合させた革新的なものでした。特に1970年代にリリースしたアルバム『Innervisions』や『Songs in the Key of Life』は、音楽史に残る名盤とされ、彼の表現力の幅広さを示しているといえるでしょう。
スティービーの音楽は、愛や平和、人種問題、貧困、社会正義など、人生の本質に迫るテーマを扱っているのも特徴ですよね。
特に「Higher Ground」や「Living for the City」は社会的メッセージが強く、音楽を通じて社会変革を訴える姿勢が高く評価されています。
I Wish
ベースラインの絶妙なリズムを軸に展開される音楽は実にパワフルでエネルギッシュ。若気の至りではないが、青年時代の誰もが経験するような失敗や過ちを無邪気なメロディに乗せて突き進む!
Sir Duke(愛するデューク)
文字どおりスウィング・ジャズの帝王、デューク・エリントンに捧げられた楽曲。軽快で親しみやすいメロディや、思わず身体が動き出しそうな躍動感は、スティービーならではの抜群の音楽性からくるものだろう!「音楽は理屈ではなく、身体で感じるもの」というポリシーが生きている。
Overjoyed
1985年のアルバム「In Square Circle」に収録された曲。鳥のさえずりや水のせせらぎのようなサウンドエフェクトが印象的。ピアノやストリングスのアレンジも、曲全体に優雅さと温かみを与えている。
スティービーのソウルフルで高音の柔らかな歌声は、歌詞に込められた愛のメッセージを深く心に届けていく。
Songs in the Key of Life(アルバム)
スティービー・ワンダー創作の絶頂期にリリースされたアルバム。彼の最高傑作というファンも多い。全曲どれをとっても音楽的インスピレーションにあふれていて、パワフルな曲ばかり!
マイケル・ブーブレ
1975年、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバーナビー生まれ。カナダ首相ブライアン・マルルーニーの令嬢の結婚式で歌を披露したことで、式に参加していた音楽プロデューサーのデイヴィッド・フォスターの目に留まったのが本格的なメジャーデビューのきっかけでした。
幼い頃からスタンダードナンバーを聴くのが大好きで、ビッグバンドを背景にした編曲が特徴。フランク・シナトラやナット・キング・コールのようなクラシックジャズの伝統を現代に蘇らせています。
恋愛や人生の本質を、聴き手の心にダイレクトに訴えかけるエモーショナルな表現も魅力ですね。
オリジナル曲だけでなく、過去の名曲をカバーする際も、オリジナルのアレンジを加えることで、若い世代にも親しみやすい音楽を提供しています。
ポップスとジャズの融合を目指し、ジャズが主流ではなくなった現代でも、その魅力を世界中に広めた功績は大きいといえるでしょう。
Feeling Good
ジャズのスタンダード曲のカバー。彼の歌唱力が際立つ一曲。
Everything
軽快でジメジメしていないラブソング。明るさの中にロマンチックなムードも漂わせるブーブレの歌が最高。
Love(Deluxe Edition)アルバム
ロマンチックな雰囲気と、彼の甘美な歌声が堪能できる魅力の一枚。このアルバムは愛をテーマにした楽曲が詰め込まれており、ジャズやスウィングのエッセンスが存分に楽しめる作品だ。
ジョシュ・グローバン
1981年、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。幼少時からミュージカル俳優を目指して、歌と演技を学んできました。
2001年11月に『ジョシュ・グローバン』 でアルバム・デビュー。その後、2003年のセカンド・アルバム『クローサー』、2006年発表のサード・アルバム『アウェイク』を発表し、常に全米チャートの上位を記録するようになります。
2002年のソルトレークシティオリンピック閉会式で、シャルロット・チャーチとのデュエット曲『The Prayer』を歌い、一躍世界的に注目されるようになりました。2005年のメジャーリーグのワールドシリーズ開幕戦ではアメリカ国歌を歌うなど、大規模なイベントでのパフォーマンスにも定評があります。
2007年発売の『ノエル~クリスマス・コレクション』は、全米アルバム・チャートで5週連続第1位という記録も達成しました。クラシカルな歌唱法をベースにしながらも、ポップスやバラードなど幅広いジャンルの曲を歌いこなす類まれな歌唱力も多くのファンの心をとらえているのでしょう。
リスナーの心に空気のように寄り添う彼の歌声には透明感があり、幅広い世代からの支持を集めています。
You Raise Me Up
困難に直面しているとき、「力を与えてくれる誰かがいる」という歌詞にあるように、曲を通じて人々への感謝を表現した普遍的な愛のメッセージ!
結婚式、追悼式、卒業式など、人生の大切なターニングポイントで演奏されることが多く、幅広い人々に愛されている。
The Prayer
ソルトレイクシティ冬季オリンピックの閉会式で歌われたシャルロット・チャーチとのデュエット曲。
Try To Remember
1960年のミュージカル『The Fantasticks』の名曲であり、多くのアーティストによって歌われてきた。夏の終わりや若かりし頃の思い出を描いた歌詞が胸に響く。
グローバンは郷愁や切なさを歌う。声質・表現ともにこの曲にぴったりで、誰もが自身の記憶や感情と向き合うことになるだろう……。
Noël (アルバム)
クリスマスアルバムとして大成功を収めた作品。伝統的なクリスマスソングをグローバン流にアレンジした魅力的な内容。
スティング
4年間、イングランドの教員養成大学に通い、卒業後小学校の美術教師として赴任したこともある異色の経歴の持ち主。
ロックグループ、ポリスの時代から、エレキギターをはじめとするベースプレイヤーとして卓越した存在でした。ソロとして独立後は、シンガーソングライターとして数多くのヒット曲を世に送り出しているのは周知の事実。歌詞には社会的なメッセージや個人的な体験も込められています。
レゲエ、ジャズ、クラシック、ロック、ソウルミュージックなど、彼の音楽はジャンルにとらわれることがありません……。というよりもジャンルを超えた存在といってもいいかもしれませんね。ハスキーボイスでありながら伸びやかで心を揺さぶる歌は、聴く人の心に強いメッセージを送り続けています。
デビューから現在に至るまで、常に音楽シーンの最前線で活躍し続けているのも、世代を超えて彼の音楽、世界観が愛されている最大の理由でもあるでしょう!
ポール・マッカートニーがスティングの楽曲「Fields Of Gold」を『自分が作りたかった曲だ』『私のハートを癒す曲であり、私の人生そのもの』と、最大級の賛辞をしたのも記憶に新しいところ。
Desert Rose
まずウードやナイなどのアラビア楽器の音色が、曲に独特の色彩を与えている。そして英語とアラビア語が混じった歌詞は、否応なく神秘的でエキゾチックな雰囲気を醸し出す。
スティングの歌声はそれに陰影を生み出し、「愛と人生」や、「時の流れの儚さ」を高い次元で表現する。
Fragile
この歌に込められた暴力や争いの無意味さ、そして人間の脆さを歌った歌詞は、時代や国を超えて共感を得てきた。
アコースティックギターとパーカッションを基調としたシンプルなアレンジだが、意味深いメロディーと歌詞がズシリと心に響く。
It’s Probably Me
まさに成熟した大人のラブソング!孤独と夜の静寂を流れる音楽の中に、静かに燃える情熱が炸裂する。語りかけるようなスティングのボーカルが最高だ。
この曲ではエリック・クラプトン、スティーヴ・ガッド、デヴィッド・サンボーンといった、そうそうたるメンバーとの共演が実現した。彼らの演奏が織りなす絶妙なハーモニーも、曲にいっそうの深さを与えている。
Nothing Like the Sun(アルバム)
音楽の可能性を広げながら、聴く人々に深い感動を与える傑作。スティングの幅広い音楽的バックグラウンドと実験精神が反映され、リスナーを飽きさせない。
洗練されたサウンド作りも一聴に値する。スティング自身がベースを演奏しながら、ギタリストのアンディ・サマーズやブランフォード・マルサリスなどの一流アーティストが参加し、楽曲に厚みと多様性を加えている。