疲れたときに何も考えずに音楽を聴いてみたい……。ジャンルを問わず癒やされる音楽、慰められる音楽を聴いてみたい……。そのように思う方は多いのではないでしょうか。
特に女性ボーカルは癒やし効果が高く、歌声を通して辛かったこと、悲しいことに寄り添ってくれるかもしれませんね。そこで今回は年代を問わない、選りすぐりの女性ボーカル7人をとりあげてみました。
ヘイリー・ウェステンラ
ヘイリーの歌声は、比類のない透明感と美しさを持ったクリスタルボイス。素直な情感に加えて、人の心にスーッと入り込む類まれな音楽性。まさにヘイリーは歌を歌うために生まれてきたような天性の歌手といっていいでしょう!
ジャンルとしてはクラシックからポップス、そしてマオリ(ニュージーランドの先住民族)の伝統音楽まで、実に幅広く歌いこなします。日本語の名曲もフューチャーしていますが、その発音の美しさや感情表現の豊かさに驚かされますよね。
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが、ヘイリーの美しい歌声に心奪われ、アルバムのプロデュース、オーケストレーション、作曲、指揮を全面的にサポートしたのも有名な話です!
ねむの木の子守唄
日本語がまったく違和感なく馴染んでいるところが凄い。しかも言葉に心が滲んでいて、充分に歌心を感じさせてくれる。繊細で陰影に富んだ表情も美しい!
Ave Maria
何といっても透明感のある歌声がこの楽曲にピッタリ!その澄んだ歌声、豊かな感情表現は、聴く人の心を熱く溶かしていく。 祈りの言葉に込められたさまざまな感情を、デリケートかつ力強く表現しているところも魅力的。
Odyysey(アルバム)
デビューアルバム「Pure」から数年の間で、ヘイリーの歌声は一段と深みと表現力を増した。大人の女性の情感豊かな歌声へと変化し、聴く者の心を揺さぶる。
クラシックから現代音楽まで、さまざまなジャンルの楽曲を収録していて、それぞれの楽曲で、ヘイリーの異なる魅力が引き出されていて飽きさせない。
Paradaiso
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネがヘイリーの歌声に惚れ込み、編曲、オーケストレーション、プロデュースを買って出たアルバム。
アーティストとのコラボや協力を一切しない彼だが、これは例外中の例外といえるだろう。
エンヤ
アイルランドの音楽一家の生まれ。
1980年に家族がケルト音楽のグループを結成したことが、音楽家としてのキャリアの出発でした。
レイヤードミュージックと言われるように、複数の声を重ねることで生まれる、豊かな響きは幻想的で美しい限りですよね。
エンヤの音楽世界は聴くというより、音楽に身をまかせるよう……。囁くように、漂うように歌い、流れていく音楽は時間・空間などの音楽の概念を変えたといえるかもしれません。
癒やし効果が高く、殺伐とした日常から解放されるような感覚を与えてくれます。まさにこれこそ正調のヒーリングミュージックでしょう!
Only Time
映画『SWEET NOVEMBER』のテーマ音楽。この曲は「どこまでも絶え間なく時間が流れる」というイメージが伝わってくる……。
何事にも答えはなく、その人がどのように思い、どのように生きていくかによってのみ変わっていく…。
May It Be
2001年の映画『ロード・オブ・ザ・リング』に使用された印象的な曲。
心の原風景を見るような実に幻想的で美しい曲。心が洗われるというのは、このような音楽を指して言うのかもしれない……。
Shepherd Moons(アルバム)
全編に渡ってヒーリング効果の高い音楽が続く。安らぎと癒やしのひとときを与えてくれるだろう。
カレン・カーペンター(カーペンターズ)
今もその歌声が忘れられないのがカレン・カーペンター。彼女は言うまでもなく、兄のリチャードと組んで1970年代に世界を席巻したカーペンターズのボーカルです。
カレンはどんな曲を歌うときも、歌詞の世界観を自分に引き寄せて、その感情を歌に込める表現力が卓越していました。
癖のない発音と発声、一度聴いたら忘れられない表情豊かな歌声。バラードからアップテンポな曲まで、どんな曲でも自分のものにしてしまう対応力まで、歌手に必要な条件をすべて持ち合わせていたといっていいでしょう。
Rainy Days And Mondays
雨の日や月曜日のように、誰しもが経験する憂鬱な気持ちを切なく歌う名曲だ。そこに込められたメッセージはリスナーの心に寄り添い、孤独をやわらげるような温かいメッセージが込められている。
カレンのけれん味のない素直な歌唱が魅力的。
Sing
後年、日本語にも訳されて幅広い世代で愛されたスタンダードナンバー!
ここでもカレンの明るく澄んだ歌声が曲の相性と抜群。包み込むような優しさがストレートに伝わってくる。
青春の輝き
カレン自身が最も愛した曲の一つ。歌詞に自身の心の葛藤を投影し、切々と歌い上げている。
Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra(アルバム)
カレンが健在な頃に収録された代表曲をリチャードがアレンジを加えてリマスター録音したアルバム。ロイヤルフィルのオーケストラ伴奏など、さまざまな面でブラッシュアップされた!
Have Yourself A Merry Little Christmas
隠れた名盤の名曲。さまざまな歌手によって歌い尽くされた感のあるこの曲をポップなバラード調で歌いあげているのが新鮮。
カレンの甘く優しい歌声や澄んだデリケートな表情はまさにクリスマスソングにぴったり!
Christmas Portrait(アルバム)
1978年に発表されたメドレーを含めて全21曲からなるクリスマスアルバム。カレンの優しく包み込むような歌声とともに、リチャードの名アレンジが素晴らしい!至福のひとときが繰り広げられるだろう。
セリーヌ・ディオン
歌の醸し出すイメージを深く心に留め、その感情を歌に表現する力、幅広い声域、伸びやかでパワフルな高音は、リスナーの心に響き渡ります。過酷なコンサート・シリーズを完璧にこなすバイタリティも傑出していますよね。
愛、別れ、希望など、誰もが抱える胸のうちに寄りそうテーマをしっとりと歌い上げるのも世代を超えて愛され続ける要因といえるでしょう。バラードのイメージが強いですが、ポップス、ロックなど、様々なジャンルの楽曲に挑戦し、それらも完璧にこなしています。
2022年に「筋肉のコントロールが困難」な、難病のスティッフ・パーソン症候群(SPS)と診断されました。それでも、困難を乗り越えながら、病気と闘い続けて歌うその姿に多くの人が共感し、励まされているのも間違いないでしょう。
My Heart Will go on
もはや言うまでもない1998年の大ヒット映画「タイタニック」のメインテーマ。ディオンの音楽はタイタニックの世界観を作り上げるのにも大きく貢献しているのは間違いない。
A New Day has Come(アルバム)
All By Myself
1975年にエリック・カルメンが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第2楽章アダージョをアレンジして大ヒットした曲。
その後フランク・シナトラを始め、多くの歌手たちがカバーしている。ディオンの歌は一つの決定版といってもいいほど完成度が高く、多くの人に支持されている。
バーブラ・ストライザンド
20世紀を代表するブロードウェイの歌姫であり、ショービジネスの花形でもあったバーブラ・ストライザンド。圧倒的な歌唱力と、人の心を一瞬でわしづかみにするパワフルでハートフルな歌は唯一無二といってもいいでしょう!
ミュージカルでもジャズでも、ポップスでも、ストーリーテラーのように楽曲の世界観を鮮やかに描き出し、聴く人の感情を強く揺さぶります。ソプラノから低音域まで自在に操るテクニックと表現力も圧倒的。彼女のライブはいつも熱気と興奮で満ちあふれていますよね!
歌手としての才能だけでなく、舞台や映画などの女優としても高い評価を得ており、その演技力は歌唱にも影響を与えていることは間違いありません。
People
巨匠ウィリアム・ワイラー監督がメガホンを取った1966年のミュージカル映画「ファニーガール」。その劇中で歌われる最も有名なナンバー。
ストライザンドのどこまでも伸びる高音と高揚感は聴く者を虜にする。
Somewhere
レナード・バーンスタイン作曲のウエストサイド物語からの一曲。ブロードウェイミュージカルと映画化で特に有名なナンバー。悲しい結末を迎えて、マリアがトニーに「行かないで、一人にしないで…」と泣きながら伝える切ないシーン。
ストライザンドはこの悲しいナンバーを激しい共感を持って、永遠の愛のバラードにまで高めている。
Simply Streisand(アルバム)
映画「ファニーガール」公開の翌年のアルバム。ジャズのスタンダードナンバーを中心に収録した初期の録音。確固とした個性の輝きに加えて、曲に応じて歌い分ける自在な表現力はゆとりさえ感じる。
Tell Him
1997年11月に発表されたバーブラ・ストライサンドとセリーヌ・ディオンのデュエット曲。
ディオンはこの年のアカデミー賞授賞式で不在だったストライザンドに代わって「アイ・ファイナリー・ファウンド・サムワン」を歌いあげた。
ディオンの歌唱に感動したストライザンドは感謝の伝言をディオン宛に送り、「後日共にレコーディングしないか」と伝えた。その想いが結実したのがこの曲。互いの信頼を分かちあう二人の表情が微笑ましい。
ティアニー・サットン
アメリカ・ミルウォーキー育ち。ウェズリアン大学ではロシア学の学士号を取得し、ボストンのバークリー音楽院で学んでいます。
ジャズシンガーとしてだけではなく、ビートが効いた楽曲やしみじみと哀愁漂う楽曲など、あらゆるカテゴリーで完璧に自分の音楽世界を作り出す実力派。これまでのジャズボーカルの枠にとらわれず、様々な音楽要素を取り入れ、常に新しい表現に挑戦し続けています。
緻密に計算されたアレンジと、高い演奏技術を持つバンドとのコラボレーションは、聴く者を飽きさせません。クリアで伸びのある歌声や自然と心に溶け込む情感は他にない魅力といえるでしょう。
Message in a Bottle
ロックグループ、ポリスの大ヒット曲をまったく違和感なく自分のスタイルに持ち込む表現力がお見事! アルバムの中で最も自在に歌う
Paris Sessions(アルバム)
シンプルなピアノ伴奏とボーカルのアレンジが美しいアルバムで、力強さと繊細さが共存する彼女の歌の魅力にグイグイ引き込まれる。楽曲はミュージカルやジャズなどのスタンダード・ナンバーを集めている。
ジャッキー・エヴァンコ
ジャッキー・エヴァンコは2010年に、アメリカ・NBCで放映されている公開オーディション「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演したことで一躍話題になりました。
当時10歳とは思えない成熟した歌声で人々を驚かせたのです。その澄み切った歌声は、年月を経ても変わることなく、聴く人の心を癒やします。
クラシカル・クロスオーバーの分野で幼い頃から幅広い人気を集めていて、これまでアルバム8枚とEP1枚がプラチナディスクを記録しています。
そのうち3枚は何とBillboard 200のトップ10にランク入りしています。
Nella Fantasia
彼女の名前を世に知らしめた代表曲の一つ。原曲は1986年の映画『ミッション』で使用されたエンニオ・モリコーネ作曲の『ガブリエルのオーボエ』。当時10歳のエヴァンコの歌の透明感、表現力は天使の歌声と言っても過言ではない!
Two Hearts(アルバム)
The Debue(アルバム)
2019年に発売されたアルバム。ミュージカルナンバーを集めた1枚。クラシカルとは一味違う彼女の魅力が息づいている。