コミュニケーションは楽しい(1)言葉編

 

人は昔からあらゆる方法で自分の気持ちを伝えたり、自分の想いを様々な形で表現してきました。それが信頼関係を築く土台になったり、人との出会いを生み出したり、いつまでも変わらない心の絆を築くことにもつながってきたのです。

人間と動物の大きな違いはコミュニケーションをとれるか否かとも言われます。心を込めたメッセージを送ったり、言葉に優しさを添えることで関係が改善することはよくあることです。人間にとって伝えること、表現することはとても大きな意味を持ちます。

ここでは日常生活で人と人との気持ちを結ぶコミュニケーションのかたちについて、様々な視点でその楽しさと本質に迫ってみたいと思います。

 

 

目次

①言葉編

 

言葉はテクニックではない

 

言葉は人の気持ちを最も手軽に、ストレートに伝えるコミュニケーションの手段です。

しかし手軽で便利だからこそ、そこに大きな落とし穴が潜んでいるのも事実です。言葉の使い方ひとつで人間関係はどのようにも変わりますよね…。

たとえば、相手を気にかけて、労いの言葉をかけ続けると次第に親密な関係に発展することもありますし、逆に信頼関係があったのに、相手を傷つける一言で敵対関係に陥ることもしばしばです。

言葉には不思議な力があります。どんなに丁寧な言葉をかけたとしても、そこによそよそしさがあったり、気持ちがこもっていなかったりすると、かえって相手の反発を招くことも少なくありません。

しかし、言葉足らずで、話はあまり上手ではないのに、尊敬を集める人もいますし、口を開いても乱暴な言葉しか使わないのに人望が厚く好かれる人もいます。この差は何なのでしょうか?

結局のところ、言葉はテクニックではなく、その人の気持ちが伝わるかどうか……、これに尽きるといっても過言ではありません!  また、言葉は心の状態や気持ちを表す衣装のようなものなのです。

 

言葉が心を潤す水や光になり、凶器にもなる

 

言葉は瞬間的に交わされ、瞬間的に消滅するコミュニケーションです。意識しないで交わされる日常的な言葉のやりとりは時間の流れとともにあっという間に消えていきます。

けれども、本当にうれしかった一言や辛かった一言はいつまでも記憶に残り続けます。

昔から「自分の言葉に責任を持て」とよく言われますね…。一度口にした言葉は二度と取り消せないからです。

たとえば、言葉はときに凶器に変貌し、私たちの心に深く突き刺さることがあります。

憎しみの心や軽蔑する感情が言葉として爆発するときは最悪です。理由はどうあれ、「お前なんかいないほうがいい」とか、「お前の顔は二度と見たくない」のように相手の人格を全否定するような言葉は破滅的な凶器といってもいいでしょう……。

実は言葉の暴力は実際の凶器以上に精神的なダメージが大きく、下手をすると社会復帰が困難な状況に追い詰められることも珍しくありません。

逆に苦しい状況であえでいる人に温かな言葉をかけると、それが縁で生涯の大親友になったという話もよく聞きます。きっと飢え乾く砂漠の中で現れたオアシスのような存在に思えるのでしょう。

無条件に相手のことを思ってかけられる言葉は太陽の光や植物を成長させる水のように心の栄養になり、勇気づけてくれ、満たしてくれるものなのです。言葉は人を生かしもするし、殺しもするのです。

程度の差こそあれ、人は敏感ですから、愛を持って投げかけられた言葉と憎しみの心で浴びせかけられた言葉では、同じセリフを口に出したとしても、その影響は決定的な違いがあるといっていいでしょう。

 

言葉は心のキャッチボール

 

 

野球の基本はキャッチボールだと言われます。キャッチボールをおろそかにすると守備やコンビネーションに響き、ひいてはチームの士気にも影響するとも言われているのです。

言葉も同じです。言葉をかけることを通じて相手との距離を縮めたり、関係を良好に保ったり、修復したりするのです。

もちろん、お互いに歩み寄る努力が必要なのですが、そのためにはどちらかがアクションを起こしていかなければなりません。

アクションを起こそうとすると、多くのエネルギーが必要になります。

でも、じっと考えていてもコミュニケーションは深まらないですよね。恐れずアプローチをかけてみましょう! 

 

ただし、このキャッチボールには条件があります。それは相手のことをよく知らなければならないことと、相手が何を願っているのかということを事前にしっかり把握しなければならないのです。

そして全面的に相手を信用してあげ、事情を理解してあげるようにすることが大切です。そうすれば時間がかかっても必ず心を開いてくれますし、本音で話をしてくれるようになります。そのためには最初は聞き役に徹することが必要でしょう。

まず、相手の話をしっかり聞いてあげて、出来ればもうこれ以上話すことがないというくらい…思っていることや日常抱えていること等、絞り出してあげることがとても重要です。人間って抱えている悩みや苦労を人に話すと気持ちがずいぶんと楽になるものなのです……。

それから、あなたが心地よく話せる環境を準備してあげましょう。そのためには話しやすい場所を選ぶことはとても大切です! 豪華なレストランとか会議室とかである必要はまったくありません。

お互いに落ち着いて話せて、気を遣わなくて済む場所、長時間いても疲れない場所がいいでしょう。たとえば日当たりがよくて風通しのよい明るいカフェや緑が豊かな公園やホテルのロビー等もいいかもしれません。

このキャッチボールが円滑に交わされるようになると、お互いの話の呼吸が絶妙に合うようになり、話をすることで様々なインスピレーションが得られたり、力がみなぎってきたり、心境の面でも大きなプラスの変化が現れてくるようになるのです。

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感謝の気持ちをひとこと加える

 

「ありがとう」、「うれしい」、「ごめんなさい」等は日常生活でよく使われる感謝や謝罪の言葉ですが、話が苦手だとおっしゃる方はこのような感謝の言葉を意識して使うようにするだけで、少なからずいい変化が現れてくるようになるでしょう…。

どういうことかといいますと、「ありがとう」、「ごめんなさい」というダイレクトな謝意の言葉は宙ぶらりんな状態の相手の心をぐっと自分に近づけさせる特効薬のようなものなのです。「自分は大切にされている」という人としての自尊心が納得する瞬間でもあるのです!

こんな経験はありませんか? 

満員の通勤電車の中で吊革につかまって立っていたら、電車の揺れで誤って隣りの人の足を踏んでしまった……。

この時、とっさに「ごめんなさい!」と大きな声で謝ったら、おそらく隣の人は「いえ大丈夫ですよ」と答えてくれるでしょう。

しかし何の謝罪もなく、その場を過ごしてしまうと、「何て失礼な人だ…」という印象を与えてしまうだけでなく、ときには大きな問題に発展しかねません。

一言があるかないかの差はあまりにも大きく、そのつけは結局自分に返ってくるしかないのです。ですから日常的に「ありがとう」、「ごめんなさい」と素直に言える人は決して敵をつくりません。

「今日は遠方から出てきてくれてありがとう」とか、「大変ではなかったですか…」、「お気をつけてお帰りください」等々、お礼の挨拶や相手を気遣う言葉を最初もしくは最後に必ず入れてみましょう。

感謝の言葉に始まり、感謝の言葉で終わる……、何でもないようですが、この積み重ねは人を着実に成長させてくれますし、他者に信頼と安心を与えるという意味でも本当に大切です。

最後にひとこと。言葉はうわべだけの伝達手段ではなく、自分の気持ちを伝えるときにはじめて大きな意味を持つようになります。

マニュアルやノウハウではなく、自分の精一杯の気持ちを自分の言葉で伝えるようにしましょう!そうすれば毎日が新鮮で輝いて見えるようになるかもしれません。



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この記事を書いた人

1961年8月生まれ。グラフィックデザインを本業としています。
現在の会社は約四半世紀勤めています。ちょうど時はアナログからデジタルへ大転換する時でした。リストラの対象にならなかったのは見様見真似で始めたMacでの作業のおかげかもしれません。
音楽、絵画、観劇が大好きで、最近は歌もの(オペラ、オラトリオ、合唱曲etc)にはまっています!このブログでは、自分が生活の中で感じた率直な気持ちを共有できればと思っております。

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