人生を2倍、3倍豊かにするオペラ7つの魅力

最近、日本でもオペラの公演に立ち会える劇場が増えてきています。

それだけでなく動画や音楽配信サイト、ライブビューイング等、様々なスタイルでオペラに接する機会が増えました。

これまでは公演料が高いとか、チケット購入が一苦労とか、一般的には敷居が高いと言われてきたものです。

それが、ネットやメディアの普及によって、特別だと思われてきたオペラが以前に比べ急速に一般的になり、親しみやすくなったのです。
オペラファンとしてはうれしい限りですね。

さて、オペラはたくさん上演されるようになったけど、「いったいオペラの魅力って何なの?」「本当に楽しいの?」とおっしゃる方は多いと思います。

そこで今回はオペラの魅力について、思いつくまま、ザッと書いてみますね。

歌手の魅力

まずオペラといえば、何といっても歌手でしょう!

オペラの最大の魅力は歌手にあると言っても決して過言ではありません。「オペラは歌手ありき」と表現されるのも、それほどに歌手の存在が公演の成否を大きく左右するからなのです。

どの歌手が出るかによって、その公演は成功するかどうか占えるほどです。 

ただ、忘れてはならないのが、オペラ歌手は高度なテクニックを持つ歌手であると同時に、観客を引き込む一流の役者でなければならないということですね。

今や伝説的なオペラ歌手のマリア・カラスやマリオ・デル・モナコはステージに立つだけでも雰囲気が一変したといいます。

つまり一流の舞台俳優と遜色ないということになるのです。

これが歌曲を歌うリート歌手とは違い、面白いところでもあるし、魅力でもあるのです。

 

作曲家と作品の魅力

 

モーツァルトに「フィガロ」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」、ワーグナーに「トリスタンとイゾルデ」「リング」、ヴェルディに「椿姫」「オテロ」があるように、それぞれのオペラ作品は各作曲家の顔的な存在、いわゆる代表作ばかりです。

それほどオペラは作曲家が人生をかけて世に問うた音楽的なメッセージで、いわば作品の中でも華であり特別な存在なのです。

ですからそれぞれの作品は、当然聴き応えがありますし、配役や演出に恵まれれば得も言えぬ感動を受けたりするのです。

オペラにおいて音楽の力は絶大で、作品が充実しているからこそ、多少のミスキャストや演出の不出来があったとしても観客は快く受け入れてくれると言えるでしょう。

 

作品の性格、情感を引き出す指揮者

 

オペラ公演において指揮者の存在は欠かせません。

同じクラシックでも協奏曲のような伴奏とは違い、オペラにおける指揮者の存在はあまりにも大きいと言えるでしょう!

それはお世辞でも何でもなく、作曲家が作品に込めた音楽的メッセージを最大限に引き出すのは指揮者の力なくしてはあり得ないからです。

「作品は名作なのに、今日の公演はつまらなかったな」と陰口を叩かれる場合は大抵、指揮者の統率力不足か、指揮者の解釈が浅かったのか、指揮者が作品をあまり愛していなかったのか……、どれかに当てはまるということになるでしょう。

とにかく指揮者にかかる責任は重大です。

逆に指揮者の表現が本質をしっかりと掴んでいたり、インスピレーションに満ちあふれていたら、観客のスタンディングオベーションは止まらなくなるかもしれませんし、「一生に一度あるかどうか…」という感動の体験を共有できるかもしれません!

 

作品の雰囲気を作りあげる舞台演出

 

演出や振付も重要です。

「どのようなコンセプトの公演にしようか…」とか「歌手たちの演技をどうしようか」と考えたり、「舞台の色彩のトーンを何色で構成しようか」などのように様々な演劇的・視覚的効果を生み出す演出家の役割はとても重要です。

たとえば、「あのシーンは美しい雪の情景とともに忘れられない……」などのようなコメントが出たりすると、それは演出が優れているからに他ならないのです。

演技や舞台美術やは音楽を生かし、さらに相乗効果でオペラを魅力的に魅せる必要不可欠なセクションだと言わざるを得ません。

夢のような空間を生みだしたり、「オペラはこんなに楽しいのか!」と思わせたり、観客の心をグッと掴む舞台は演出家冥利に尽きると言っていいでしょう!

 

演出には実に多くのスタッフが携わっています。演出家をはじめとして、舞台監督、衣装や照明、大道具、小道具、その他大勢のスタッフがオペラを創りあげているのです。

それぞれ役割をしっかり担当しながら、オペラの成功という大義名分に向かって一致団結し協力するのです。

 

出演者と観客の一体感

 

オペラは他のクラシック音楽とは違い、キャストと観客の間に距離感がなく、自由な雰囲気で劇は進行します。

それは単にステージと客席が近いというより、キャストと観客が一体となって音楽が生み出されるというオペラが持つ独特の雰囲気がそうさせるのかもしれません。

その証拠に、アリアの熱唱後、すぐさま万雷の拍手や「ブラヴォー」のかけ声がかかることもたびたびです。

私も褒められたり、賞賛されるとうれしいのですが、それは歌手やキャストも同じです。

歌手たちはそれが大きな励みとなって、さらに素晴らしい歌唱と演技を繰り広げるということがよくありますからね!

終幕後のカーテンコールも、観客の満足感が高ければ高いほどスタンディングオベーションが長く続くのは目にされたことがあるのではないでしょうか…。

それはキャストと観客が同じ幸福感を共有する瞬間でもあるのです。

贅沢な総合芸術としての魅力

 

オペラはあらゆる芸術の中でも最も贅沢で、すべての要素を併せ持った「究極の芸術」です。

それもそうでしょう! なぜならオペラは音楽、文学、演劇、美術の各要素を一つのステージで高いレベルで集約し、味わえる芸術だからです。

舞台演劇やミュージカルも近い感覚がありますが、オペラほどあらゆる要素をすべて網羅している芸術はないかもしれません。

前述したように、オペラ公演のために集結するスタッフの数はとても多く、それぞれが身体の機能を保持するかのように重要な役割を果たしているのです。

 

エンターティメントしての楽しさ

 

もう一つ、つけ加えておきたいのが、エンターティメントしての楽しさです。

オペラはその人がどのような心境で見るか、またはどのような視点で見るかによって面白さ、楽しみ方が変わってきます。

以前は伸びる声を出すためにオペラ体型と言われるような小太りな歌手が多めでした。でも今はそうではありません。

一般的に動画・メディア配信が浸透するようになって、最近はビジュアル的にも整った容姿の歌手も多くなってきましたね。

また、衣装や舞台美術を見るのが何より楽しみという人も少なくないです。

このように多方面から楽しめるのも、オペラの魅力ですし、芸術としての多面性を如実に表しているのではないでしょうか!

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