しなやかで聴きごたえ充分のベートーヴェン! カルロス・クライバー「ベートーヴェン交響曲第7番」

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ベートーヴェンの中期の傑作

ベートーヴェンの交響曲はとっつきにくいと思われてます。確かに演奏は難しいし、曲の本質を汲み取るのが大変なのも事実でしょう。

しかし、聴けば聴くほどにベートーヴェンの深い着想やインスピレーションには唸るしかないし、ただただ驚かされるばかりです。

そして全曲を聴き終わると、たとえようのない、大きな何かに包み込まれたような感覚が残るのもベートーヴェン独特の魅力なのです。

また、ベートーヴェンの素晴らしさは聴き込むほどに実感できるし、人生経験を重ねるたびに深まっていくとことも確かでしょう。

そんな傑作の森と言われるベートーヴェンの交響曲の中で最初にオススメしたいのが「交響曲第7番」です。

ベートーヴェンの交響曲第7番は、日本では数年前にテレビドラマ「のだめカンタービレ」で使用されてから一躍有名になった曲でした。

馴染みやすいメロディとリズム

実際、この交響曲はベートーヴェンの他の交響曲第5番「運命」や第3番「英雄」に比べると、音楽がリズムを刻みながらテンポ良く進行する感触があり、それが馴染みやすさを印象づけているのかもしれません。

第1楽章がトウッティ(すべての楽器が一斉に奏でられる)で開始されると、弦の上昇音階が奏でられる壮大な序奏部が続きます。すでにここで大自然の威容が眼前に拡がっていくのが伝わってきますね!

その直後にオーボエやフルートが小鳥のさえずりや柔らかな春の陽射しの到来を告げると、俄然心躍る自然との語らいがリズミカルに、そしてエネルギッシュに展開されていくのです。

第2楽章の悲劇的な主題も忘れられない余韻を残します。

第3楽章のプレストは第4楽章アレグロ・コン・ブリオの飛翔への序奏と言っていいかもしれません。激しいアタックと鋭いリズムが印象的ですが、その曲調は燃え上がる第4楽章のために、ウォーミングアップしながら「今か、今か」と待ち構えている兵士のようです。

「舞踏の神化」の真骨頂。アレグロ・コン・ブリオ

交響曲第7番は、オペラの巨人ワーグナーが「舞踏の神化」だと絶賛した作品です。

その特徴が最もよく表れているのが最終楽章のアレグロ・コン・ブリオですね。 確かに当時の古典派音楽の範疇を大きく超えた気迫と情熱が伝わってきます!

主題そのものはシンプルなのですが、曲が進むにつれて様々な形に展開され発展し、あっという間に熱狂と興奮を築いていく様子は見事というしかありません。

それは物理的な迫力や凄みだけではなく、強いエネルギーで求心力を結集しながら輝かしく曲を閉じていくのです!

当時としては、正統的な古典派スタイルを大いにねじ曲げた問題作だったのでしょう……。

しかし、この第4楽章は音楽理論では計れない素晴らしさがあるのは事実です。

こういう感性はクラシックファンだけでなく、ポップスファン、ロックファンにも大いに受け入れられるに違いないでしょう…。

ライブのクライバーの凄さを実感!

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この交響曲第7番を演奏と録音を加味して選ぶならば、カルロス・クライバーが1982年にバイエルン国立管弦楽団を指揮したライブ演奏(orfeo)が絶対的にオススメです!

第1楽章から音楽がまったく滞ることなく、グングンと強い推進力を持って鳴り響きます。

特に素晴らしいのが第4楽章アレグロ・コン・ブリオです。

コーダに現れる低弦のチェロやコントラバスの深くえぐるような音響も凄いですが、最初から最後までオーケストラをコントロールする強い求心力は観客を興奮の嵐に巻き込んでいきます! 

しなやかなのですが、強い意志力に貫かれたベートーヴェンです。これこそ、ベートーヴェンの神髄といっていいでしょう。



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この記事を書いた人

1961年8月生まれ。グラフィックデザインを本業としています。
現在の会社は約四半世紀勤めています。ちょうど時はアナログからデジタルへ大転換する時でした。リストラの対象にならなかったのは見様見真似で始めたMacでの作業のおかげかもしれません。
音楽、絵画、観劇が大好きで、最近は歌もの(オペラ、オラトリオ、合唱曲etc)にはまっています!このブログでは、自分が生活の中で感じた率直な気持ちを共有できればと思っております。

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