このところさまざまなメディアでもとりあげられ話題になっている上野の森美術館で開催中の「ゴッホ展」に行ってきました。
今回のゴッホ展は彼が画家を志すきっかけとなった「ハーグ派」の出会いから始まり、「印象派」の画家たちとの出会いによって画風が大きく変貌を遂げ、晩年の独自のスタイルを生み出すまでの変遷のストーリーを絵で眺めていくものです。
驚くほどの盛況ぶり!
朝9時45分に美術館の前に到着すると、すでに美術館前には200メートルほどの長蛇の列が出来ていました。
国立西洋美術館や東京都美術館はたびたび見に行くのですが、8月の展覧会もズラリと並んでいた記憶があります。
上野の森美術館はこれまで入場した経験がなく、見た感じもさほど広い空間ではなさそうです。こんなに話題性があって、大勢の人が押しかけているのに館内は身動きできる空間があるのかな…大丈夫かな……という一抹の不安が頭をよぎりました。
入場すると確かに熱気が凄く、絵の周辺には多くの人混みが出来ていて、「我慢するしかないな…」という感じです。。
けれども幸か不幸か館内の移動距離が少なく、比較的スムーズに流れるようなレイアウトになっているので、意外と見やすいのではないでしょうか。
混雑していたものの、さほどの窮屈さを味わうことなく見られたのは良かったかもしれません。
さて、ゴッホ展はこのところ連続して毎年のように開催されています。
印象派の色彩に影響を受けたせいもあるのか、日本ではゴッホは後期印象派という位置づけがあるようですね……。
印象派人気が根強い日本ではモネやルノワール、ピサロたちと一緒に展覧会で紹介されることも多く、それもまた人気を後押ししているのでしょう。
ゴッホ作品が40点も展示
今回の注目はゴッホ自身が描いた作品が40点も展示されていることです!
画家の名前が付いた展覧会はたくさんありますが、日本で公開される展覧会で、いわゆる本人作によるものは通常せいぜい10点から10数点くらいでしょうか…。時には数点だけという場合もあります(大体こういうケースでは「○○とその仲間展」とか、「○○と同時代を生きた画家たち」のようにソフトフォーカスされたタイトルの展覧会名になることが多いのですが)。
そういう意味でも今回の展覧会は破格の点数が集まったといっていいでしょう!
しかも画家を志し始めた時代から、印象派に影響を受け、ゴッホ独自の画風を確立するまでの絵の変化の様子が見られるのはあまりない企画ですし、貴重ですね。
画家は環境や経験、人生観が変わることでタッチや作風が自ずと変わりますが、ゴッホほど短い間に激変した画家もいないかもしれません。
ゴッホが短い期間にどのような精神的な変化があったのかを、想いをめぐらしながら絵を見るのも面白いかもしれません。
またゴッホが影響を受けた画家たちの絵も展示されていて、興味深く見られるのもいいですね。
他にセザンヌやピサロ、シスレーなど同時代に生きた画家たちの美しい絵が展示されていたのも展覧会にいっそう彩りを添えています。
晩年の二作品に釘付けになる!
私の心に深く刻まれたのはチラシのメインビジュアルになっている「糸杉」と「サン=レミの療養院の庭」(ともに1889年)ですね。
この両作品は、渾身の力を振り絞って描いただろうと思われる入魂のタッチが、モチーフから受けた感動の強さやほとばしるような生命のエネルギーを伝えてやみません!
画集で見てもタッチの迫力や目の覚めるような色彩の力は凄いのですが、やはり原画の迫力は圧倒的です!
この凄さはやはり実際に見ないと伝わらないでしょうし、わからないでしょうね……。
近くにあったセザンヌやゴーギャンの絵も影が薄くなってしまうほど、これらの絵が醸し出すパワーや存在感は際立っていたのでした。
【ゴッホ展】公式サイト
東京会場
会期 2019年10月11日~2020年1月13日
会場 上野の森美術館
住所 台東区上野公園1-2
開館時間 9:30~17:00(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日 12月31日、1月1日
料金 一般 1800円 / 大学・高校生 1600円 / 中・小学生1000円
兵庫会場
会期 2020年1月25日~3月29日
会場 兵庫県立美術館
住所 神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
開館時間 10:00~18:00(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日 月(祝祭日の場合は開館、翌火休館)
料金 未定