昔から「目は心の窓」とか、「目は口ほどに物を言う」などと言われてきました。
このような諺があるように、目は顔の中でも、その人の人柄や印象を決定づけてしまうといわれるほど大切なパーツです。信頼関係が築かれるのも、相手の目をみて「この人は間違いない」と認識するからなのです。
目や眼差しはメイクや化粧品で整えると考える方が多いかもしれません。もちろんそれは外見や身だしなみを整えるという意味でとても重要です。しかしそれだけでは限界がありますし、美しい眼差しを目指すならばどうしても片手落ちになってしまうでしょう。
何といっても重要なのが、その人の心の状態や考えかたです。目にはその人の人生観や心のありのままの状態が現れます。ではどうしたらより美しい表情や眼差しを手に入れることが出来るのでしょうか…。
ここでは澄んだ眼差しや、眼差しに強さ、柔らかさ、優しさ、美しさが滲み出てくるために何を意識すべきかを考えていきます……。
プラス思考へ転換する
心のイメージトレーニングは私たちの生活に大きな影響を及ぼします。そしてそれは目に見えるかたちとしても現れてきます。
プラス思考とは物事を前向きにとらえるとか、否定的な発想をしないことだけを指すのではありません。
より重要なのが、傷ついたり、打ちのめされたりしても、それをあたかも自分のプラス材料として発想の転換ができる柔軟で能動的な思考なのです。
根っからのマイナス思考の人がプラス思考に意識を変えると、驚くほどにその表情や目の輝きに変化が現れてきます。
なぜならプラス思考に意識を転換することは心に溜まりやすい負の要素を可能な限り濾過することになるからなのです。
なぜ幼児や物心のつかない子供たちの目は純粋で澄んでるのでしょうか……。それは素直で純粋な発想をするからです。あるがままの情報をそのごとくに貪欲に受け取るからなのです。
心の状態が一番現れやすいのが目の輝きや表情です。物事をマイナスイメージでしか捉えられないと、いつの間にか目の輝きが失われ、疲れた表情になりやすいのです。
しかしどのような状況でも、希望を持って物事を考えられるようになると目に輝きが出てきます。
負の感情の排除
プラス思考をするうえで徹底的に排除すべきなのが負の感情でしょう。
最も厄介で心身に悪影響を及ぼしやすいのが「憎しみ」や「嫉妬」そして「憤り」のような負の感情です。
「憎しみ」を心にずっと抱いていると知らず知らずに心が荒んできます。しかも「許せない」と心の中で思い続けることは、絶えず凶器を心に留めておくのと同じ状態なのです。
困ったことに、人間不信や人を蔑む想いというのは顔に表れやすく、気がついたら恐い顔つきに変貌していたとか、眉間に深いシワが刻まれていたというのはよくあることです。
負の感情を引き寄せるのを未然に防ぐには、やはりプラス思考に転換するしかありません。
また不幸にも負の感情を背負ってしまったら、自分にとって許せない要因を早く溶かしてしまうことです。そのためには何らかの機会をつくって和解をすることも必要でしょう。それが難しいようだったら、きれいサッパリ忘れることが一番です。
生きている限り誰もが嫌な想いをしたり、不愉快になることはたくさんあるでしょう。でも「嫌なことは水に流して…」という言葉もあるように、忘れることです。
自分に非がなかったとしてもすべて忘れることで時間が解決してくれることでしょう。
笑顔を絶やさない
「笑顔を絶やさない」というのは「プラス思考」とセットだと考えてもいいでしょう。
プラス思考をすることで笑顔にもゆとりや潤いが出てきます。そして逆もあります。
笑顔をつくることで徐々にプラス思考ができるようになるのです。
自然な笑顔は場を大いに盛り上げますし、人との信頼関係を築くきっかけにもなります。そして笑顔の蓄積は自分自身の魅力的な表情をつくりあげる礎にもなるのです。
「人を顔で判断してはいけない」といいますが、やはり顔には人柄がしっかりと現れます。
目の輝き、表情……、それはその人が醸し出す雰囲気そのものなのです。そして「笑顔」は相手に心を開くからこそ可能な意思表示なのです。
笑顔は場をなごませ、人に安心感を与え、マイナスイメージも払拭する最強のパワーを持っています。
柔和で優しい笑顔を醸し出す人、人を包み込む笑顔を発する人の眼差しはどこにいても魅力的に映るものです。
涙を流す、笑う、素直な感情表現
感情表現はとても大切です。
喜怒哀楽を押し殺さないで素直に表現することは心の状態を良好に保つうえでとても有効です! 特に「笑う、涙を流す」は気持ちが解放され、心が楽になる感情表現です。
悲しみで心が張り裂けそうなときは思いっきり泣いたらいいでしょう……。そして話が楽しくてたまらないときは思いきり笑ったらいいと思います。
それは自分にとって心を解放するだけでなく、相手にとっても素直な気持ちの表現として好意的に受けとめられるでしょう。
「笑う」、「涙を流す」は心に鬱積した老廃物や負の要素をきれいに洗い流したり、気持ちを高める効果があるのです。
また人との心をつなげる大事な役割もはたします。
たとえば講演会で誰かが話をするとしましょう。そのときにお客様から反応がないと、とても不安になるものです。
場の空気が硬直して、重苦しくなってしまいますよね。話し手の方も「話が面白くないのか」「わかりにくいのかな」といろいろと詮索してしまいます。
しかし誰かがクスッと笑ったり、驚いたりするだけで場がとてもなごみます。
その場の空気や雰囲気を変える素直な涙や笑いは能動的で歓迎されるものです。同時に素直な涙や笑いはあなたの心を解放し、柔らかな眼差しに仕向けてくれるのです。
感謝の気持ちを持つ
感謝の気持ちを持つことは私たちの生活の基本姿勢といってもいいでしょう。
それくらい感謝することは、日々の生活でもっともっと注目されるべきことだし、意識すべき大切な想いなのです。
なぜなら私たちが生まれたのも、日々の生活が無事に送れるのも、よく考えれば奇跡だし、自分一人の力で達成できることは何一つ無いといっていいかもしれません。
物事が一つのかたちとして結実するには、そこに多くの人の有形無形の協力があるということも忘れてはならないのです。
感謝の想いが身につくと、私たちの心の幅は大きく拡がります。そして感謝の想いはその人に謙虚さ、素直さ、優しさ、深い眼差しを賦与してくれるようになるのです。
当たり前のように思っても、実は当たり前ではなかったということはよくあるものです。たとえば、病に伏して失意と絶望の期間が長く続いたりすると、健康のありがたみが嫌というほど実感できます。
「感謝」はあらゆる出来事や自然の成りゆきに心を寄せることで、他者を尊重し敬う中で自分自身をも保護するようになるのです。
感性を磨く
よく感性は物事を感じとる能力といわれますね。
育った環境や歩んできた人生も感性を育むうえで大きな影響を与えます。
感性は天性のもの、特別な才能だと思われることが多いようです。でも決してそうではありません。
年齢や性別も関係がありません。その気があれば何歳でも感性を磨くことが可能だし、感性を育むことで人生を豊かにすることができるのです。
人との深い交流や芸術、自然と触れ合う中で蓄積された情感、感動した体験や、心に深く刻まれたことも感性として育まれていきます。
感性が育まれると、ものを深く見つめることができるようになり、あらゆる人に対して寛容で思慮深くなります。
そのような様々な体験から得られる心の財産は、自ずと私たちの表情、眼差しも魅力的に変えてくれるのです。
感性は人としての潜在的な魅力を何倍にも引き出してくれるものです。
創作をする
物を作るというのは特別な時間です。
創作は心を能動的にし、新たな世界を切り開いたり、自分自身を発見するきっかけも与えてくれます。
たとえば「外でスケッチをしていたら、気持ちが楽になった…」とか、「曲を作っていると時間を忘れる」という話をよく聞きます。
それは描くこと、作ることを通じて、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感のすべてをフル稼働させるからなのです。
人は決まったルールや習慣の中であたりまえに行動する傾向があります。しかし絵を描くこと、曲を作ること…、創作することで意識がリセットされ、新鮮な感覚で物事を捉えようとするのです。
感性を育むのと同様に、細胞が蘇り、新鮮な気分に浸れる創作活動は、心の扉を解き放つきっかけになるかもしれません。
まとめ
これまでご紹介した項目は、眼差しや美しい表情と何の関係があるのか?と思われた方も多くいらっしゃるでしょう……。
しかし一見関係ないようでも、魅力的な眼差し、表情は精神的な充実や豊かな経験の蓄積と無関係ではありません。本当に輝く眼差しを身につけるとしたらメイクや美顔術では限界があります。
内面が満たされた状態になり、能動的な心を持てるようになってこそ、それが美しい眼差しを獲得する出発点になります。そのためには次の4点を心がけるべきでしょう。
①プラス思考に即座に転換できる柔軟な心。
②笑顔を日常的に習慣化させ、周囲の環境を良い方向に変える感化力。
③自然で素直な感情表現(特に笑いと涙)
④何事にも感謝できる心の基本姿勢