
バッハの《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》は、ピアニストにとっての試金石であり、同時に聴く者の心に深く寄り添う不朽の名作です。
24のすべて異なる調で書かれたプレリュードとフーガは、言葉では表現できない崇高な感情、豊かな響きを凝縮した音楽の原点とも言える世界を描き出します。
本記事では、これから平均律に親しみたい方にも分かりやすく、作品の魅力や聴きどころ、名曲の解説、そしておすすめの名盤・名演奏を紹介してまいります。
ピアニストの試金石といわれる理由|平均律クラヴィーア曲集の難しさと価値

バッハの平均律クラヴィーア曲集は、彼のクラヴィーア作品の中で特に重要な作品です。無限のイマジネーションと真摯な宗教性が融合した不朽の傑作といえるでしょう!
バッハが平均律クラヴィーア曲集に込めた思想と音楽的意義
この作品でバッハが12平均律に新たな可能性を追求した功績と意欲はもちろん見逃せません。
しかし、何よりもこの作品全体にあふれているのはバッハの音楽に対する深い愛情なのです。
「平均律クラヴィール曲集」は神の秩序をうつしとった小さな完成された「世界」(ミクロコスモス)、音楽の小宇宙などと形容されることもあります。
それぞれのプレリュードとフーガは24のすべて異なる調によって書かれ、ハ音を主音として開始します。
そして長調と短調の曲を交互に配置しながら、半音階ずつ上行を繰り返しロ短調で終結する組み合わせで構成されており、そこから驚くほどの豊かな音楽世界がつむぎ出されていくのです!

平均律クラヴィーア曲集 第1巻の聴きどころ|全24曲を貫く世界観
第1曲・プレリュードハ長調
平均律第1巻の有名な第1曲。水面が刻一刻と装いを変えるように音が紡ぎ出される。
第7曲・プレリュード変ホ長調
夜空の星の清澄な輝きを想わせる美しいプレリュード。その表情は刻一刻と移りかわり、さまざまな感情を伝えていく。
第8曲・フーガ嬰ニ短調
悲痛な哀しみと瞑想を彩る深遠な音の変化と発展が雄大な宇宙を形成していく。
第9曲・フーガホ長調
のどかな陽だまりを想わせる寛いだ雰囲気が、ひとときの安らぎと平和な瞬間を与えてくれる。
平均律クラヴィーア曲集 第1巻のおすすめ名盤・名演奏
タチアナ・ニコラエーワ

タチアナ・ニコラエーワの演奏は1984年、日本でのライブ録音です。ライブ演奏ですが、音がしっかり収録されていて録音がいいのが魅力です。
平均律にまつわるイメージを決して壊さず、しかも深い精神性に裏打ちされた音楽が随所で鳴り響き、優しい語らいやチャーミングな表情も兼ね備えた安心して聴ける演奏と言っていいでしょう!
グレン・グールド
グールドの演奏はどこをとっても常識的な表情はなく、最初はとまどうかもしれません。
しかし個性的でありながら、本質をしっかり見据え、生き生きとした表情を曲に与えたグールドのアプローチは実に爽快です!
表現は一瞬たりとも曖昧になることがなく、聴く者はグールドの世界にぐいぐい引き込まれる事になるでしょう!
長調のプレリュードであってもどことなく寂寥感を伝える彼の表現は独特で、他のピアニストからは絶対聴けないものです。ただし表現自体は偉大なのですが、作品が本来求めている演奏なのかはまた別の問題と言えそうです。
ジル・クロスランド
平均律の性格からすると変に個性を発揮したり、癖のある演奏をしないでほしいというのが、リスナーの共通した気持ちではないでしょうか。でも真面目だけど平凡な演奏や、薄味な演奏も困るというのもごもっともです。
そのような意味で大いにオススメしたいのがジル・クロスランドの演奏です。まったく気負わず、滔々と弾いているようで、実は本質をしっかり捉えた演奏なのです。
エレガントで 端正なスタイルの演奏は身構えることなく聴き通すことが出来、これから平均律に親しもうという方にも最適な演奏です。
エフゲニー・ザラフィアンツ

プレリュード〜《平均律クラヴィーア曲集》を巡るあるピアニストの心象〜













