演奏する喜び、聴く楽しみがあふれる!モーツァルト・2台のピアノための協奏曲

演奏する喜び・楽しみ!

 

モーツァルトの「2台のピアノのための協奏曲K.365」は私が大好きな曲です!

颯爽としていて、音楽にまったく淀みがありません。そのうえ、明るくて生き生きとした情感が気分を高めてくれるのがいいですね。

何より魅力的なのが、終始ピアノを演奏する喜び、楽しみで音楽が埋め尽くされていることでしょうか……。

作曲家の目線で見ると、どうしても交響曲や協奏曲というジャンルの創作はかしこまったり、体裁を整えようとする意識が働きがちです。

しかしモーツァルトの場合はちょっと違いますね!

K.365は音楽として完成された傑作なのですが、泉のように沸きたつイマジネーションが作品全体にあふれていて、退屈になったり、飽きることがありません。

音楽を聴きながら自然と身体が動き始めるのも、ピアノの絶妙な対話や流麗でリズミカルな曲調によるものが大きいのでしょう…。

各楽章の主題も覚えやすく、モーツアルトらしいメロディの魅力が随所で輝きを放っています。

とにかく聴いていると次第に音楽にのめり込んでいき、恍惚とした時間に浸れることでしょう。

ピアノの対話が楽しい!

 

しかし、この作品で一番気持ちよく音楽に浸れるのはピアノを弾く2人のピアニストたちかもしれません!

それはまるでピアニストたちがおしゃべりを交わしたり、気持ちを分かち合うような感覚に近いと言ってもいいでしょう。

モーツァルトは、この作品で5歳年上の姉・ナンネルと共演することを想定して作曲したようですね。

マリア・アンナ・モーツァルト(通称ナンネル)はピアニストとしても、作曲家としても優れた感性とセンスの持ち主だったようですが、当時の女性に対する抑圧や無理解などで時代の潮流に押し流されてしまったのでした。

ナンネル(1762年頃)

彼女の作品が残っていないのが残念ですが、モーツァルトがこんなに楽しい作品を作ったことを考えると、とても気持ちが通じあっていたんでしょうね……。

ピアノが風のように駆け抜けたり、こだまのように反復したり、ささやきあう…。

とにかくピアノの掛け合いが絶品で、おしゃべりのように楽しいのです!

聴いているほうも「楽しそうだな…」とうらやましい気持ちになります……。

こういう曲ですからピアノ演奏はお互いに遠慮せずに、自分の持ち味をフルに発揮して、やりたい放題やってくれればいいのにと思うのですが…。

意外に持ち味を発揮してやり尽くした演奏というのは少ないかもしれませんね!

聴きどころ

第1楽章・アレグロ

弦楽器のユニゾンで始まる序奏に続き、木管楽器が華を添える第1主題が現れると、次第に優美で力強い管弦楽が全体像を明確に示す。

2台のピアノは呼吸と間合いを絶妙に保ちながら、美しく豊かな対話を重ねていく。

第2楽章・アンダンテ

2台のピアノとオーボエ、ファゴットが奏でるおしゃべりが特徴的。ピアノと木管楽器が豊かな対話や瞑想を奏でていく。

第3楽章・ロンドーアレグロ

躍動感にあふれた弦楽器による序奏テーマが耳に飛び込んでくる!

ピアノはますます奔放に躍動し、多彩な表情を見せていく。中でも中間部の哀しみに沈むメロディと涙の中に垣間見せる無邪気な微笑みが忘れられない……。

オススメ演奏

マレイ・ペライア(P)、ラドゥ・ルプー(P)イギリス室内管弦楽団

 

モーツァルトらしい洗練さと自由奔放で快活なピアノのアンサンブルの長所が随所に生きた名演奏です。

特にペライアとルプーの二人はピアノの音が透明感にあふれていて美しく流麗! 息もピッタリで、終始興奮と感動を伝えてくれます。

メリハリもあり、陰影もある、まさに理想のK.365かもしれません。

タール&グロートホイゼン(P)、ヴァイル指揮&ミュンヘン放送管

タール&グロートホイゼンは世界各地で演奏活動を行い、著名な音楽祭に出演しているピアノ・デュオです。

この録音は彼らの代表的なレパートリーのひとつですが、ヴァイル(指揮)の強力なサポートをバックに、じっくりと音を噛みしめ、余韻に浸れるような味わい深い演奏と言っていいかもしれません。

ピアノの響きも内面の美しさを奏でていて、隠れた音楽の美しさを発見するかもしれないですね。

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