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ATSUSHI

  • 2022年7月7日

敬虔でロマンチックな情緒が漂うオラトリオ!メンデルスゾーン・聖パウロ

隠れた名作 メンデルスゾーンは早くから、天才的な音楽性とロマンチックな情緒で魅力あふれる作品を世に送り続けた作曲家でした。 ところで皆さんはメンデルスゾーンといえば、どんな作品を思い出すでしょうか? 甘美なメロディの『ヴァイオリン協奏曲』、明るく躍動的なリズムが印象的な『交響曲第4番イタリア』、哀愁に満ちた『交響曲第3番スコットランド』、夢の世界へ誘う管弦楽曲『真夏の夜の夢』をあげる方はきっと多い […]

  • 2022年6月25日

ミクロの世界から時空を超えたマクロの世界へ・ブリューゲル「バベルの塔」

  16世紀ベルギーの天才画家、ブリューゲルには『バベルの塔』と名づけられた大小2枚の名画があります。 この2枚の作品はいつの時代も、見る人に理屈抜きで堪能できる絵画ならではの面白さやメッセージを送り続けてきました。それは500年ほどが経過した現代でもまったく変わっていません。 今回は小さいほうのバベルの塔をメインに魅力やエピソードについてご紹介していきます! 人間の傲慢さと無力 ブリュ […]

  • 2022年6月17日

言葉にならない美しい瞬間が訪れる!シューベルト交響曲第7番「未完成」

刻々と表情を変える転調の素晴らしさ かつて「未完成交響曲」はベートーヴェンの第5「運命」とカップリングという形でLPがよく発売されていたものでした。 1960年、70年代当時「運命」と「未完成」はクラシック音楽を二分する不滅のスタンダードナンバーだったのです。 神秘のヴェールに覆われたイメージが強い「未完成交響曲」ですが、オリジナル楽器全盛時代の現在、そのイメージや扱われかたも随分と変わってきまし […]

  • 2022年6月6日

胸がワクワク、心躍る魅惑の作品!バッハ・オーボエダモーレ協奏曲

ヴィンシャーマン盤の思い出   バッハのオーボエダモーレ協奏曲イ長調BWV1055。 こんなに楽しく親しみやすい作品がバッハの音楽にあったのか…と驚くばかりなのですが、この作品と出会うきっかけになったのがヘルムート・ヴィンシャーマンがオーボエを担当し指揮したアルバムでした! すでに録音から半世紀以上の歳月が過ぎているのですが、今なお新鮮で温もりある響きに胸が熱くなります。 ヴィンシャーマ […]

  • 2022年5月25日

ヘンデルオペラの凄みを体現する指揮者・アラルコン、ヘンデル「サウル」の名演

最近ヘンデルのオペラ・オラトリオで新世代の指揮者の台頭にめざましいものがあります。 中でもアルゼンチン出身の指揮者、レオナルド・ガルシア・アラルコンの活躍は際立っていますね。 2010年以降、ヘンデルの大作オラトリオ、『ユダスマカベウス』『サムソン』『セメレ』等を発表し、どれもこれまでになかった新機軸の演奏でセンセーショナルな成功を遂げています! もちろん決して話題性ばかりではなく、ヘンデルの本質 […]

  • 2022年5月12日

人生は哀しみと隣り合わせ…。モーツァルト・ピアノソナタK310

母の死・埋め尽くせない喪失感…。 モーツァルトはピアノをとても愛していました。作曲や演奏の場ばかりでなく、いつもピアノに素直な感情をぶつけていたのです。 この作品はモーツァルトのピアノソナタの中でも特別な位置にある作品といっていいでしょう。 それは人を喜ばせたり楽しませるというよりも、自分の心に忠実に心の張り裂けるような想いを素直に音楽に託しているのです…。 イ短調ソナタは、モーツァルトが短調で書 […]

  • 2022年4月20日

一瞬の輝きを刻みこんだ名画・モネ『散歩、日傘の女』

「ああ、この瞬間をカメラで撮影できたらなあ…残念」 皆さんはシャッターチャンスを逃してしまって、このような口惜しい想いをした経験はありませんか? デジタル技術が目まぐるしく進歩して、カメラの性能も日進月歩で高性能化している現代でさえそうなのですから、過去のクリエイターやアーティストたちはどれほどの想いだったのでしょう……。 しかしそんな時代のハンディを感じさせるどころか、むしろそれをメリットに変え […]

  • 2022年4月8日

涙を越えて!愛らしく微笑むピアノ曲・モーツァルト「ピアノソナタK545」

愛らしく無垢なピアノソナタ この作品はピアノの練習曲として大変有名ですが、愛らしく美しいメロディが宝石のように散りばめられた紛れもない傑作です。 ピアノを学習する人たちが、音楽の魅力を存分に味わいながらレッスンに励めるような配慮がなされていて、改めてモーツァルトの見識の高さを感じますね! さて、K.545は初心者のレッスン用と銘打たれています。 しかし、それはあくまでもテクニックの観点からとらえた […]

  • 2022年3月31日

寄せる波しぶき、浮かぶ情景・メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟序曲」

スコットランドの自然保護区としても有名な無人島のヘブリディーズ諸島。 この一角に多くの芸術家が霊感を受けたといわれるフィンガルの洞窟があります。 見事なまでに柱状に浸食された玄武岩の荘厳な出で立ちや洞窟内にこだまする不気味な響き…。 それらは多くのアーティストたちに強烈なインパクトを与え、今なお多くの人々に強いメッセージを送り続けています。 ロマン派の作曲家メンデルスゾーンもこの「フィンガルの洞窟 […]

  • 2022年3月19日

黄金色に輝くアルル時代絶頂の名作・ゴッホ「ラ・クローの収穫」

  南仏に求めた明るい日差し   西洋絵画史上、最も強烈な印象や足跡を残した人としてゴッホの名前を挙げる人は多いでしょう。 しかも彼の偉大な作品は晩年の2年間にほぼ集約されています。その2年はゴッホ自らがユートピアと謳ったアルル滞在時代でした。 この時代に彼は代表作と言われるほとんどの作品を描いたのです。アルル時代はゴッホにとってすべてが新鮮で創作のエネルギーが湧きあがる充実し […]