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2020年

  • 2020年6月18日

科学的な分析による絵画技法の金字塔 スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」

究極の点描画   スーラ作の「グランド・ジャット島の日曜日の午後」。 皆さんはこの絵をどこかでご覧になったことがあるのではないでしょうか?とにかく有名な絵ですね。 「グランド・ジャット」はスーラの一世一代の傑作であると同時に、様々な研究を積み重ねた結果たどり着いた作品だったのでした。 そして彼独自のオリジナル技法が大変な反響を呼んだ絵だったのです。 スーラは、印象派の画家たちが用いた「筆 […]

  • 2020年6月15日

肖像画の認識が変わる絵画 アングル『ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像』

アカデミックな絵の典型? 19世紀フランスの画家ドミニク・アングル(1780-1867)は人が羨むようなデッサンの達人でした。 しかし彼は卓越したテクニックと画力の持ち主であったけれども、決して技術に溺れるような人ではなかったのです。 もちろんデッサンの技術を最大限に生かすけれども、必要であればいくらでも形を崩したり、表現の可能性を採り入れる等、進取の気性に富んだ画家だったのです。 この『ドーソン […]

  • 2020年6月9日

交響曲の価値観を決定的に変えた大傑作 ベートーヴェン・交響曲第3番「英雄」

交響曲で最初にドラマを実現! ベートーヴェンといえば、誰もがすぐに思い浮かべるのが、苦悩を突き抜け勝利の凱歌をあげる「ジャジャジャジャーン」の交響曲第5番「運命」ではないでしょうか!? 自然と人間の調和や語らいを謳い上げる交響曲第6番「田園」も魅力いっぱいですし、日本では既に年末の風物詩ともなった交響曲第9番「合唱」の壮大なスケールにも圧倒されますよね……。 ベートーヴェンにとって交響曲は、人生を […]

  • 2020年6月4日

極上のひとときを約束してくれるバロック音楽の傑作 テレマン「ターフェルムジーク」

理屈抜きに楽しめる作品 テレマンの代表作、「ターフェルムジーク」は「食卓の音楽」という意味のバロック音楽の名曲です。 バッハの「ブランデンブルク協奏曲」や「管弦楽組曲」と並んであまりにも有名な作品ですから、きっと皆さんもこの曲集のフレーズのどこかを一度は耳にされたことがあることでしょう……。 「食卓の音楽」というタイトルから、当時の王侯貴族たちが食事の際に退屈しないためのBGMとして、作曲されたの […]

  • 2020年5月27日

シリアスなテーマがファンタジックな世界に! ルソー「眠るジプシー女」

日曜画家から始まったルソーの画歴 「眠るジプシー女」。 皆さんはこの絵をどこかで目にした事があるのではないでしょうか? おそらく中学か、高校あたりの美術の教科書にはこの絵が掲載されていますね……。「ちょっと不思議な絵柄が気になって仕方がなかった…」という方もいらっしゃることでしょう。 静まった夜の砂漠で、深い眠りに就いている女性にライオンが近づいているという光景なのですが、これが何とも不思議なんで […]

  • 2020年5月23日

無邪気さと汲めども尽きない音楽の魅力が全開! モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番」

モーツァルトの魅力が全開!     モーツァルトはピアノとの相性が抜群でした。彼がピアノ曲を作曲するときは、まるで自分の内面を吐露するように自由で束縛がなかったのかもしれません……。 改めていうまでもありませんが、モーツァルトのピアノソナタやピアノ協奏曲の、そのほとんどすべてがキラキラと輝くような傑作揃いです。 そして私たちの心を捉えて離さない魅力作が目白押しなのです。中でもピ […]

  • 2020年5月19日

タブーに挑み、新境地を開いた傑作ミュージカル映画「ウエストサイド物語」(1961)

深刻な人種問題をテーマに ウェストサイド物語はもう半世紀以上前の作品ですが、この映画を初めて見たときの衝撃はいまだに忘れられません。 タイトルバックに続いて映し出されるニューヨーク・マンハッタン。鳥瞰で街並みを追うカメラアングルはやがて街のテニスコートへと切り替わります。 冒頭はセリフも歌もありません。その代わりに前衛的な音楽、シャープで躍動的なダンス、スピード感あふれる映像が、この映画が何を伝え […]

  • 2020年5月15日

お洒落でエレガント! オードリーのキュートな魅力が光る! 映画・パリの恋人

ファッション、歌、踊り、演出、見どころいっぱい! 1957年制作の映画「パリの恋人」は歌、踊り、ファッション、それにちょっぴりセンチメンタルなストーリーも加味された理屈抜きに楽しいミュージカル作品です。 この映画はミュージカル仕立てであるものの、それまでの舞台やミュージカル作品にありがちな「ひたすら歌って、踊る」というショービジネス的な枠に決してはまっていません。 しっとりとした情感の演出やモード […]

  • 2020年5月12日

澄んだ秋風を想わせる愉悦のハーモニー モーツァルト「ピアノ協奏曲第25番」

創作絶頂期の実りの一つ   モーツァルトのピアノ協奏曲は、彼のあらゆる作品群の中で最も魅力的なジャンルの一つでしょう。 特に第20番からの作品の数々はモーツァルトでしか作れない無邪気さ、天衣無縫さに加え、いっそうの深みと透明感が加わります。 さて、モーツアルトのピアノ協奏曲第25番は1786年、ちょうどオペラ「フィガロの結婚」を完成させる前年に発表された作品でした。 輝かしく魅力いっぱい […]

  • 2020年5月7日

ミュージカル映画の王道を行くMGM黄金時代の傑作!バンドワゴン(1953)

MGMミュージカル映画の絶頂期   1953年の映画「バンドワゴン」はミュージカル作品に力を入れてきたMGM絶頂期の集大成のような作品です。 1930年初頭の世界大恐慌の影響で、職を追われた多くのブロードウェイミュージカルのスターたちがハリウッドに流入するようになりました。 MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー社)は、それをきっかけに、ミュージカル映画の制作に本腰を入れ始めたのでした […]