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ビバ・クラシカ!

  • 2022年3月31日

寄せる波しぶき、浮かぶ情景・メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟序曲」

スコットランドの自然保護区としても有名な無人島のヘブリディーズ諸島。 この一角に多くの芸術家が霊感を受けたといわれるフィンガルの洞窟があります。 見事なまでに柱状に浸食された玄武岩の荘厳な出で立ちや洞窟内にこだまする不気味な響き…。 それらは多くのアーティストたちに強烈なインパクトを与え、今なお多くの人々に強いメッセージを送り続けています。 ロマン派の作曲家メンデルスゾーンもこの「フィンガルの洞窟 […]

  • 2022年3月13日

唯一の心の支え!自然への尽きぬ想い・ベートーヴェン交響曲第6番「田園」

ベートーヴェンの交響曲の代表作は何かと問われたら、ついつい彼自身の人生を凝縮したような第3番「英雄」、第5「運命」、第9「合唱」といった劇的な作品ばかりを勧めてしまう自分がいることに気づきます…。 しかし忘れてはならない作品があります。 彼の創作の原点になった自然の恵みを想いを込めて書いた田園交響曲ですね! 終生かけがえのない存在だった自然との共存を描く傑作中の傑作! 今回はこの交響曲の魅力につい […]

  • 2022年2月19日

あらゆる人を唸らせる交響曲の中の交響曲!ブラームス・交響曲第1番

以前、この曲は私にとって「苦手な曲」でした。なぜかといえば、ベートーヴェンの影が強くつきまとっているように思えたからなのです。 苦悩から歓喜に至る曲の構成もさることながら、第4楽章の主題はまさにベートーヴェンの第9の歓喜のテーマに瓜二つで、これでは「模倣だ」、「真似をした」といわれても仕方がないとさえ思ったものでした。 しかし、しばらくして聴き直すとベートーヴェンとはまったく違うブラームスならでは […]

  • 2022年2月13日

収穫を喜び、日々の営みを感謝する・ハイドンーオラトリオ「四季」

    ワクワクするオラトリオ この作品を聴くと心がワクワクして、何だかうれしい気分になります。  オラトリオとしては異例の親しみやすさだし、全編に愛すべきメロディが散りばめられています。とにかく普通のオラトリオとはちょっと違うんですよね。 「四季」といえば、「天地創造」と並ぶハイドン晩年の傑作オラトリオです。堅苦しさが微塵もありません。美しい旋律と作曲技法の冴えが縦横無尽に展 […]

  • 2022年1月25日

大地を揺るがすエネルギーと疾風怒濤の迫力! ベートーヴェン・交響曲第7番

明るい曲調と激しい情熱 この曲は最近やたらとCMやBGM等で使われることが多い曲です。 そもそも2006年から2010年にかけてテレビドラマや映画の「のだめカンタービレ」でテーマ音楽として使用されたのがきっかけでないでしょうか…。 第7は第3「英雄」や第5「運命」ほどの深刻さはなく、第9のように難解ではありません。ベートーヴェンの交響曲としてはとっつきやすく、なじみやすいのです。 しかし、とっつき […]

  • 2021年12月17日

圧倒的なフーガと究極の音楽美・モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」

古典交響曲の最高傑作 モーツァルトにとって交響曲は彼の作品の中でどのような位置づけだったのでしょうか? ベートーヴェンの場合なら交響曲は最重要なジャンルと考えて間違いないでしょう。第3「英雄」、第5「運命」、第6「田園」、第9のような歴史的傑作をはじめとして、彼が作曲した9つの交響曲は西洋音楽史を語る上で絶対に外せない交響曲ばかりですね! モーツァルトの交響曲は全部で41曲と言われています。 この […]

  • 2021年10月20日

甘く切ないメロディが映し出す美しい記憶!ラフマニノフ・交響曲第2番

  甘く切ないメロディ ラフマニノフはクラシックの作曲家の中ではメロディメーカーとして一目置かれる存在です。 活動した時代が19世紀後半から20世紀前半だったため、音楽の様式、スタイルが現代のリスナーにも比較的受け入れやすいということもあるのでしょうね。 20世紀前半といえば、ちょうどジャズやポップス、民族音楽など、さまざまな音楽の要素がクラシック音楽に組み込まれ、多様化が際立ってきた時 […]

  • 2021年10月13日

腕が鳴る! 圧倒的な演奏効果が際立つ・ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」

ライブこそ真価が発揮される協奏曲 Embed from Getty Images ジャナンドレア・ノセダ率いるジュリアード管弦楽団とラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番ニ短調」を共演するコルトン・ペルティエ(Photo by Hiroyuki Ito/Getty Images) 皆さんは期待に胸を弾ませて行った演奏会で、イマイチ音楽の良さを感知できずに終わってしまったとか、もどかしい思いをしながら聴 […]

  • 2021年10月1日

宗教の枠組みを超え、声楽の可能性を究めた渾身の作!バッハ:ミサ曲ロ短調

一般的にミサ曲はカトリックの典礼儀式で演奏され、歌われるものという概念があります。 しかし、バッハやベートーヴェンの作品になると、もはや典礼音楽や宗派云々という狭い枠組みは問題なくアッサリと超えてしまいます……。 やはり形や目的は関係なく、いいものはいい、芸術的な作品は傑作として語り継がれることになるのでしょう。 今回はカトリックとプロテスタント的な要素を共存させながらも、200年以上に渡って不朽 […]

  • 2021年8月13日

オペラの演出のように美しくワクワクするミサ曲 プッチーニ「グロリアミサ」

ドラマチックで美しいミサ曲 プッチーニは20世紀を代表するイタリアオペラの大作曲家ですが、オペラに比べると宗教曲や声楽曲はあまり知られていません。 しかし、このグロリア・ミサは一言ではとても言い尽くせない魅力に溢れた素晴らしい作品です。  何が素晴らしいのかというと、ミサの形式で書かれた作品なのですが、カトリック的な情感を基調にしたものではなく、もちろん厳粛なグレゴリオ聖歌風でもない、あくまでも歌 […]