- 2021年3月18日
灼熱の太陽の輝きに似た魅力作 ヘンデル「ディキシット・ドミヌス」
灼熱の太陽の輝きに似た魅力作 ヘンデルはイタリア滞在時の若かりし頃、オペラの名曲を次々と発表しました。宗教曲『ディキシット・ドミヌス・主は言われた』もそのような時に誕生したのでした。 まず、この作品を聴いて感じるのは従来の厳かな宗教曲のイメージとは少し一線を画しているということです。 作品を聴くとわかるように、大変な意欲作で、これまでのカトリック音楽の慣例を打ち破ろうという気概に満ち […]
灼熱の太陽の輝きに似た魅力作 ヘンデルはイタリア滞在時の若かりし頃、オペラの名曲を次々と発表しました。宗教曲『ディキシット・ドミヌス・主は言われた』もそのような時に誕生したのでした。 まず、この作品を聴いて感じるのは従来の厳かな宗教曲のイメージとは少し一線を画しているということです。 作品を聴くとわかるように、大変な意欲作で、これまでのカトリック音楽の慣例を打ち破ろうという気概に満ち […]
バッハ作品の原点 平均律クラヴィーア曲集は、多くの傑作を残したバッハにとって作曲の原点であり、特別な位置を占める作品でした。 それは彼のライフワークでもあるピアニストたちの練習に約立つことや、これからピアノの基礎をしっかり学んでいこうとする音楽家たちにとって、充分に学ぶ意味のある音楽を提供することでもあったのです。 もちろん一般のリスナーや音楽ファンにも多くの示唆を与え、感性を刺激する味わい深い作 […]
ロマンチズムの極地、衝撃の交響曲 チャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調『悲愴』。言うまでもなく傑作中の傑作です。 この作品、以前は第4楽章があまりにも悲し過ぎて、好き好んで聴くことがありませんでした……。でも人生経験を積んで、いろんな想いを通過して改めて聴き返すと、これが本当に感動的なのです。そしてチャイコフスキーがなぜこの交響曲を書いたのかということに納得するし、大いに共感してやま […]
モーツァルトの音楽は良質な絵本のよう 絵本はいつの時代も、大人が子どもに絵を見せながら読み聞かせるものとして親しまれてきました。幼い子どもたちの感性、創造性を育み、さまざまな教訓を自然に無理なく吸収できるものとして愛されてきたのです。 ところが今、絵本は大人も読んで感動したり、その楽しさを味わうものヘと変化してきています。 これはどういうことなのでしょうか……。冷静に考えると、絵本の […]
迫力満点だった上野の展覧会 2019年に東京・上野の森美術館で開催された『ゴッホ展』は見応え充分の充実した展覧会でした。 中でも『糸杉』の迫力は言葉に表せないほどのもので、厚く塗られた絵の具のタッチや狂おしいほどの情熱、生命を削りながら無我夢中で描いたと思われる余韻と感動は到底写真や印刷物では再現できないだろう……と確信したのです! ゴッホ(1853-1890)の心の息吹が目に見えるような形で伝わ […]
印象派の典型と言われた画家 今なお日本でも根強い人気があり、19世紀に一世を風靡した印象派がフランスで産声をあげたきっかけは思いがけないものでした。 それは1870年代にフランスの芸術アカデミーとアカデミー主催のサロン展へ抗議する形で噴出したのです。 サロンに出品することは、当時の画家たちにとって成功に至る唯一の登竜門だったのでした。しかしサロンの権威ある審査員たちは、印象派から出品された作品の多 […]
昨年からの世界的なコロナ禍は、かれこれもう1年になろうとしています。 いまだに収束の気配が見えない中、痛感するのは、文化、エンタメが私たちの心や生活に与える影響は計り知れないほど大きかったということです。改めて舞台公演やコンサートから、どれほど多くのエネルギーをもらっていたのだろうかと思うばかりなのです。 特に劇団四季の公演は時間が許す限り通い、楽しませていただいていたので、その寂しさはひとしおで […]
メロディの宝庫! 一般的にクラシック音楽は他の音楽ジャンルに比べて高級だとか、敷居が高いと思われることが多いようです。でも、実際はどうでしょうか? 確かに他ジャンルに比べれば親しみやすいとは言えないでしょうし、長くて難解な曲もあることはありますね……。 でも、音楽の表現の領域や可能性が広いのもクラシック音楽の魅力です。 その証拠にグレゴリオ聖歌やミサ曲のような静謐で心洗われる音楽こそ音楽の原点だ […]
ワクワク感と柔軟な感性! 『ラ・ラ・ランド』は音楽、ダンス、演出、撮影、美術などのさまざまな要素が夢のようなファンタジーとして結集したミュージカル映画です。 この映画は劇中に「ロシュフォールの恋人たち」「シェルブールの雨傘」「バンドワゴン」「世界中がアイラブユー」など往年のミュージカル映画へのオマージュがふんだんに盛り込まれています。しかし出来上がった作品は他にないチャゼル監督ならで […]
19世紀後半、モネ、ルノワール、シスレー、ピサロなどの印象派絵画が脚光を浴び、ヨーロッパ画壇を席巻する中で異色の風景画を描き続けた人がいます。 ポール・セザンヌ(1839-1906)です。彼は誰もが思いつかない、一風変わった独自の絵画スタイルを編み出し、後年はそれをとことん追求し続けたのでした。 彼が激動の19〜20世紀絵画においてはたした役割や業績とは何だったのでしょうか? &nb […]